ベッカ・スティーブンス (Becca Stevens): INTERVIEW

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国際的に活躍するミュージシャンからのメッセージ、
第8回目はニューヨークを拠点に世界中でご活躍の、
ベッカ・スティーブンスさんのインタビューをお届けいたします!

Becca Stevens (ベッカ・スティーブンス) – バイオグラフィー

 

ノースカロライナ出身、ニューヨークのブルックリンに拠点を置くシンガー、作曲家、マルチインストゥルメンタリストのベッカ・スティーブンスは、例えばニューヨーク・タイムズで『NY最良の秘宝』『印象的なまでに人を夢中にさせる』と述べられたように、これまでに多くの賞賛を得てきた。

常に人の心を動かしその活動の幅を広げているベッカ・スティーブンスは、新作『レジーナ』で再び自分のあり方を刷新している。非常に高い評価を得た3rdアルバム『パーフェクト・アニマル』のリリースから数年、スティーブンスは新しい音楽を書き演奏するためのインスピレーションを得るべくエリザベス女王一世について学び、そこから歴史や文献、フォルクローレ、そして彼女の想像の中に登場する様々な女王たちへと興味を広げ、それは荘厳さや神聖さにインスピレーションを得た音楽となり、最終的に、レジーナという、信頼する友、あるいは自我が形を変えたもののような声へと変化を遂げた。

このアルバムへの彼女のミュゼについて、スティーブンスは「レジーナは自我が形を変えたもの、あるいは、想像上の友達。夢のように、レジーナは自分から分離したものでありながら、自分の存在意識の上に成り立つもの。今、私は常に彼女とともにあるの。だから、ベッカの中にはいつもレジーナがいる、とも言えるし、レジーナの中にはいつもベッカがいる、といっても良いと思うわ。」と説明している。

トロイ・ミラーのプロデュースで、「レジーナ」ではマイケル・リーグ、ジェイコブ・コーリアー、ローラ・マヴーラ、巨匠デイヴィッド・クロスビーらとのクリエイティブなパフォーマンスのコラボレーションがフィーチャーされている。アルバムは幾つかの時期に分けて録音され、ロンドンではまずトロイ・ミラーと、次のロンドンでのセッションではコーリアーと(彼はスティーブンスとリーグが共に参加したアルバムの共同プロデューサーでもある)、続いてニューヨークのブルックリンでミラーと、そしてリーグと録音し、最後にリーグとスティーブンスのバンドマスターらもブルックリンでレコーディングを行った。その他、スティーブンスの信頼するバンドメンバーであるリアム・ロビンソン、クリス・トーディニ、ジョーダン・ペリソンらと、アラン・ハンプトン、ジョー・ローリー、数々の賞を受賞しているアタッカ・ストリング・カルテットも、このアルバムに参加している。

スティーブンスのスタイルは常になんらかのカテゴリーに収まらず、そしてこの『レジーナ』はさらにジャンルの壁を越えた作品となっている。ポップ、ロック、R&Bやファンクと並び、トラディッショナルなアパラチアンとブリティッシュのフォーク、クラシック、ワールド・ミュージック、そしてジャズの要素を聴くことができる。複雑な器楽編成とリズムが一体となってヴォーカルやメロディーと絡み合い、人々の脳に訴えかける。スティーブンスはビヨーク、セント・ヴィンセント、トーリ・エイモス、ジョニ・ミッチェルらと比較されてきたが、彼女は国際的ミュージックシーンへの軌跡を確かに、そして華々しく残しながら、将来、息の長い重要なアーティストになるべく自分自身を確立している。

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ノースカロライナ芸術学校でクラシック・ギターを専攻したのち、ニューヨークにある「The New School for Jazz and Contemporary Music」でジャズ・コンテンポラリー音楽専攻に入学、ジャズと作曲を学ぶ。この学校でベーシストのクリス・トルダーニと出会い、ベッカ・スティーヴンス・バンドを結成する(当時の同級生にホセ・ジェイムズなどがいる)。2008年にはデビュー作『Tea By Sea』を発表。その後はビョーケストラへの参加、ブラッド・メルドーやテイラー・アイグスティと共演して話題になり始める。ギター、チャランゴ、ウクレレも駆使した『Weightless』(2011)はニューヨークからワールドワイドへと話題が拡散、アニマル・コレクティヴ、ザ・スミスのカヴァーも取り上げたセンスも注目された。ゲスト参加もここ数年で急増、グレッチェン・パーラト『ロスト・アンド・ファウンド』、エスペランサ『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』、その他ギデオン・ヴァン・ゲルダー、ダイナ・スティーヴンス、アンプローズ・アキンムシーレ、イアン・メーラー~ハーフ・シーズ・オーヴァー他多数。最近ではホセ・ジェイムズ最新作『ホワイル・ユー・ワー・スリーピング』でのデュエット・ナンバー、ローラ・ニーロのトリビュート盤『Map To The Treasure:Reimagining Laura Nyro』への参加などさらに注目を集めている。現在はグレッチェン・パーラト、レベッカ・マーティンとのTilleryというスペシャル・グループでも自身のバンドと並行して活動中。(日本版CDのレーベル、コアポートのウェブサイトより引用:http://www.coreport.jp/artist/becca_rpoz-10005.html)

 

Becca Stevens (ベッカ・スティーブンス) インタビュー

 

  • ベッカさん、こんにちは!2017年7月の来日を前に、どのようなお気持ちですか?

 

とても楽しみです!日本はいちばんお気に入りの旅先の一つです。

日本にいると不思議なくらいくつろげるの。本当に、日本の人々や周りにあるもの、メンタリティーにとてもつながりを感じます。

 

  • ベッカさんにとって憧れのアーティストは誰ですか?最もお気に入りの方を何人か、そしてそれらの方々からどんな影響を受けてこられたかも教えてください。

 

私のお気に入りは、数名挙げるとしたらBjörk、RadioheadのThom Yorke、Kendrick Lamar、Michael Jackson、Hiatus KaiyoteのNai Palm、Elliot Smithです。

これらのミュージシャンの音楽が好きな理由は共通していて、誠実である、ということ。彼らはそれぞれ、恐れたり言い訳をしたりせず正直であり、自分のアートにおいて一貫して誠実です。

彼らのような人たちは他にはいませんし、他に比べるものが無い、そしていつも時代を先取りし、これまで見たことの無いような人を元気づける美しいアートを創っていて、私はそれが大好きです。

 

  • ジャズやブルースを歌うことのどんなところが最も好きですか?

 

自由です!

私はスタンダードを歌うのが大好きで、どこに向かうか、どうやって終わるかを事前に決めずにノープランでいきなり始めるの。

私の音楽経験の中の”限界を作らない”という感覚は、ジャズを学ぶことで強固なものになったと思っています。

 

  •  あなたの音楽において、最も気にかけていることは何ですか?

 

2つめの質問に似ているけれど、誠実さというのが、私にとってとてもプライオリティーが高いことです。

私はオリジナリティーにとても重きを置いているし、それを欲しています。

地球上の誰もが、ワンアンドオンリーであり、アートはその個性を表現するチャンス。自分自身のものではなく誰かにとっての真実を表現しても、私の心に訴えるものにはなりません。

私はいつも私のミュゼに従っていますし、アートの創作にあたりいちばん自分をインスパイアしてくれるものこそが、私の本物の魂の表現だと考えています。

 

  •  製作についてはいかがですか?これまでのレコーディングでのエピソードなど、教えていただけますか?

 

アルバム制作も、上の質問の答えと似ています。一瞬一瞬、一貫して、自分のミュゼに従います。

計画的な部分もたくさんありますが、それぞれの瞬間では、私はそこにきちんとインスピレーションがあるかどうかを確かめることに立ち戻りながら行っています。

スタジオで過ごすのは本当に大好きです。私のマインドは、プロデューサーのように働きます。自分が作曲をしているときは、自分の音楽を層状にとらえ、作品創りの幹の部分はストーリーで考えます。

例えば、同じCDの中に偶然いくつかの曲が入っている、というよりは、最初から最後までストーリーのある1つの曲を、と。

アルバムを創るたびに、他のことを何もしないで、そのためだけにスタジオに3ヶ月いられたらいいのにな、と思います!もしそれができたら夢のようです。スタジオで過ごし、制作をするのは、大好きです。

 

  • 教育者として気に掛けている事、なぜ教える事が好きか、指導者としての目標などを教えて下さい。

 

教えるのは、私の好きな活動の一つです。

教えること、作曲すること、演奏することをある程度組み合わせて行っているとき、いちばんアーティストとしてバランスが取れていると感じます。教えることはこの3つの中でいちばん私をインスパイアしてくれます。私を満たしてくれるし、どの生徒よりも私がいちばん学んでいます。

作曲やレコーディングと同様、もし私自身がインスパイアされなかったら、それは、私の生徒もインスパイアされていないということですし、ミュゼを見つけるために方針を変える必要があるという示唆なのです。

生徒がみんなインスパイアされて帰って行った日は、私にとって大成功の日です!

 

  • 自分をクリエイティブに保ち、周りの人に多くを与え続けるコツを教えてください。

 

私は自分のクリエイティビティとインスピレーションに栄養を与えてくれるものを見つけ、できるときはそれを自分に与えるようにしています。

私は他者からとてもインスパイアされるので、人々や自然とつながっていられるよう努めています。そして、目の前にあることや現実をよく見つめ、ポジティブであるよう心がけています。

ポジティブなものの見方はとても難しいですが、音楽ビジネスにおいてはとても必要なことです。常にチャレンジをし続けていかなければならないとしても、もし自分がやっていることが好きでいられれば、あなたは『上手くいく』んです。なぜなら、あなたが自分のやっている音楽を愛しているときというのは、それまでの過程が上手くいったということだからです!

人から成功について聞かれたときに思い出す格言があります。それは『成功は幸せへのカギではない、幸せこそが、成功へのカギだ。あなたが自分のやっていることを愛すれば、成功するだろう』というものです。この格言はブッダのものだと聞きましたが、それが正しいかどうかはよくわかりません!誰が最初に言った言葉なのか探したのですが、見つかりませんでした。

 

  • 最後の質問になりますが、日本のシンガーに向けて、メッセージをお願いします。

 

『自分自身であること!他の誰かになりたいと思っても、その人の個性はもうその人が持っているものだから。』これはオスカー・ワイルドの格言だったと思います。

他の人を感動させようと思うのなら、自分の嫌いなものを創るのではなく、あなた自身が感動する音楽を書くようにすると良いでしょう。

あなた自身がインスパイアされていなければ、繰り返し音楽を演奏することに行き詰まってしまうでしょうし、それではあなたが幸せではなくなってしまう。それは私にとっては最悪のことです。

もしあなたが自分をインスパイアしてくれるような曲を書いて、誰もそれを好きだと言ってくれなかったとしても、少なくともあなた自身はハッピーな気持ちで満たされながら演奏できることでしょう!

 

ご協力、どうも有難うございました。

 

ベッカ・スティーブンスさんは、7/20~23(木〜日)、Cotton Club Tokyoに出演予定です。

詳細はこちら
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/becca-stevens/