ルシアーナ・ソウザ(Luciana Souza): INTERVIEW

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ワールドクラスのジャズシンガー、アーティストをご紹介するインタビュー。13回目はL.A.を拠点に世界で活躍するヴォーカリスト、ルシアーナ・ソウザさんのインタビューをお届けいたします!

ルシアーナ・ソウザ:  インタビュー

こんにちは、ルシアーナさん!! 6月の来日をとても楽しみにしています!来日を前に、どんなお気持ちですか?

久しぶりに日本を訪れるのをとっても楽しみにしています。特にコットンクラブさんには前回伺ったときとても良くしていただきました。

 

  • 日本にお越しくださって有難うございます。6年ぶりに東京で聴くことができるのをとても楽しみにしています!とても素晴らしい作品を次々とリリースされ、ご自身の音楽の世界観を広げて来られていらっしゃって、本当に素晴らしいと感じています。最新作について、教えていただけますか?

最新作は詩をベースとしたものです。

母親が詩人で、言語や考えやことばの力を大切にしている人だったので、常に詩というものに興味を深く持っていました。

最新作では、全ての曲を書いて、たくさんの有名な詩、例えば、Emily DickinsonやLeonard Cohenのものをその曲に乗せて歌いました。

バンドはギターとベースのみですが、素晴らしい、Chico PinheiroとScott Colleyというメンバーです。東京にも一緒に行く予定です!

 

  • 新しいプロジェクトのテーマを選ぶ時、どのように考え、曲を選び、自分自身とのつながりをかんがえますか?またブラジリアンミュージックとジャズ、オリジナル曲などのバランスについてはいかがですか?

私はこれまでそういう活動ができたのは恵まれているからだと思っています。

数多く、詩を音楽に合わせ、ミニマリストのような観点でデュオやトリオで奏でてきました。

無音の状態、スペース、そして音があらわになる、そのときの音の表情が好きなんです。

 

  • 生徒さんが自分なりの表現方法を探そうと試行錯誤しているとき、どのように教えていますか?指導者としてもっとも気にかけていることは何ですか?

そうですね、私の考えでは、生徒が何を求めているか、それに基づいて常に生徒の役に立つようにありたいと思っています。
例えば、フレージングだったり、リズムだったり、声の出し方だったり、テクニークだったり、レパートリーごとの課題だったり。
これまで私自身が素晴らしい先生と出会ってきて、その先生たちはいつも上記のようなことを教えてくださったと思います。私自身が最初は気付いていないときもありましたが、先生方は私が何に取り組むとよいかをわかっていてくださいました。

 

  • ルシアーナさんの過去の作品の多くはご自身のセルフプロデュースだったり、ご主人のラリー・クライン氏によるものだと伺っています。ご自身と周りの素晴らしいミュージシャン、プロデューサーといったあなたの音楽を支えてくれる人たちとの仕事のベストバランスをどのように見出していますか?周りの人と良い形で仕事をするコツは何ですか?

非常に多くの経験を持ち、私の創る音楽を大切にしてくれる素晴らしい音楽家でありプロデューサーと結婚したことを本当にラッキーだと思っています。

夫であるラリー・クラインと仕事をするプロセスは、とても簡単なんです。深い信頼関係と、共通言語があるから。そして一緒に仕事をするのはすごく楽しいの。

ラリーはアーティストの持つ声にとても敬意を払ってくれますし、一緒に最高の音楽を創ることができるようにしてくれるからです。

 

  • そして言葉について・・・ご自身の作品の歌詞や詩、ハーモニー、グルーヴ、その他音楽的な部分についてもバランスのとり方や考え方を教えていただけますか?私たち日本人シンガーはいつもセカンドランゲージで歌う、という課題を抱えていて、ルシアーナさんのご意見はとても役立つと思うからです。

詩を音楽に乗せるときは、詩がすべてを教えてくれます。いつもは詩を覚え、しばらくその詩と思考という意味でも感情という意味でもともに過ごします。自分の書いたものであるかのように共感できるよう、詩を大好きになることです!

こんなふうに感じているとき、ピアノを弾いたり、またはギターやパーカッションの楽器を奏でていると、詩がわたしにリズムを教えてくれるのです。

すぐに、どんなものが自然なのかを突き止めていきます。フレーズは3/4があうのか 4/4、あるいは7/4がいいのか。どんなものであっても、いつも詩のもつリズムから初めると、サウンドの全体的な景色が見えてきます。単色なのか、多様なカラーを持つ景色なのか、そこからハーモニーという視点ではどこから始めればよいかがわかります。

ときには、グルーヴがすべて同時に決まってくるものであったり、ときには、メロディーが先に浮かぶこともあります。そこまできたら、理論の知識やハーモニー、リズム、自分の直観力を用いるのです。

 

  • ルシアーナさんの音楽に大きな影響を与えたミュージシャンは誰ですか?お気に入りの方をぜひ教えてください。

ものすごくたくさんいますが、Tom Jobim, my father, Milton Nascimento, Frank Sinatra, Hermeto Pascoal, Elis Regina, Leny Andrade, Shirley Horn, Carmen McRae, Mercedes Sosaらでしょうか。本当にたくさんいるの。

  • ブラジリアンとジャズを歌うことについて、一番好きなのはどんな部分ですか?ご自身の音楽において最も大事にしていることを教えてください。

私が一番大切にしているのは、音楽が本物であり、正直にサウンドしていることです。

私の視点では、私の音楽はクリエイティヴで、私のレパートリーは自分の信念や自分自身がどういう人間であるかを表していると思っています。

私が選ぶミュージシャンも、同じ音楽的言語や心の在り方をわかっている人たちであり、オープンなマインドで、インスピレーションを与えてくれる人たちです。

  • 自らをクリエイティブに保ち、周りの人に多くのことを与え続けるためのコツを教えてください。

そうですね、音楽は私にとって栄養です。親しみ、分かち合いたいと思うのは、自然なことでしかありません。でも、たくさんの一人の時間や静かな時間も必要です。音を聴くためには、静けさも必要なんです。

  • 最後に、日本のシンガーやミュージシャン、ジャズファンへのメッセージもお願いします。

日本にまた行くことができるのがとてもうれしいです。皆さんご存知のように、ブラジルと日本は深いつながりがあります。私の叔父は日系人です。文化はだいぶ違いますが、お互いを深く尊敬しあう関係だと思います。個人的には、日本のオーディエンスとの時間が大好きです。みなさん、とても熱心に聴いてくださり、耳の肥えた方が多いですね。

皆さんの応援に心から感謝しています!!!

東京に行くのがとても楽しみです!

ルシアーナさんの来日をとても楽しみにしています!インタビューへのご協力、どうも有難うございました。

 

Luciana Souza(ルシアーナ・ソウザ) – バイオグラフィー

ルシアーナ・ソウザはグラミー受賞者であり、ジャズを牽引するシンガー、演奏家である。ブラジル、サンパウロ出身。ルシアーナの父親はシンガー・ソングライター、母親は詩人で作詞家という、ボサノバの先駆者である二人のもと音楽一家に育った。パフォーマーとして、音楽のスタイルという境界を超え、ジャズに確固たるルーツを持ちながらも洗練された形でワールドミュージックを受け継いでおり、また新しい音楽へのアプローチにも精通しており、卓越した実力を持っている。

リーダー作としては2002年より6つのグラミーノミネート作品(Brazilian Duos, North and South, Duos II, Tide, Duos III, and The Book of Chet)を発表。ユニバーサルからのデビュー作 “The New Bossa Nova”は夫であるLarry Kleinがプロデュースを手掛け、 幅広く批評家から評価を得た。

詩をベースとした2つの作品には”The Poems of Elizabeth Bishop And Other Songs” “Neruda”がある。2015年リリースの”Speaking in Tongues”はニューヨーク・タイムズ誌が“ルシアーナ・ソウザは声を共感と親密さを表現する楽器のように、文化の継承や詩の世界を説明するかのように操り、歌詞のない楽曲を最大の表現力で歌っている”と称した。

ソウザはジャズの大家であるHerbie Hancock(Grammy winning record, River – The Joni Letters)やPaul Simon, James Taylor, Bobby McFerrin, Maria Schneider, Danilo Perezらのレコーディングに参加。ブラジリアンのギタリスト Romero Lubambo との長期にわたるデュオ活動では世界各国で称賛を受け、サイドシンガーとしての録音は60作品以上にわたる。

ルシアーナの歌唱は”卓越している””完璧である””唯一無二”などと言われており、Entertainment Weeklyには”彼女の声は境界線のない感情をなぞるよう”と、そして弦楽器を含むアンサンブル”A Far Cry”はBoston Globeに”彼女のパフォーマンスは美しいという表現を超越したものである。慰めでもあり、究極のものが持つ雰囲気を誠実に表現している”と評された。

ルシアーナは作曲家Osvaldo Golijovの”La Pasion According to St. Mark””Oceana”の2作品において、ソロイストとしても卓越した演奏をしている。Bach Akademie Stuttgartやthe Boston Symphony Orchestra、Brooklyn Philharmonicのと活動のみでなくオーケストラではその他にもNew York PhilharmonicやAtlanta Symphony、Los Angeles Philharmonic、Los Angeles Chamber Orchestra、American Composers Orchestraなどとも共演した。弦楽器との共演では、Los Angeles Guitar Quartetや作曲家のDerek Bermel、Patrick Zimmerli、The Blue Hourの5人の作曲家Rachel Grimes、Angelica Negrón、Shara Nova、Caroline Shaw、Sarah Kirkland Snyderらの楽曲にCarolyn Forchéによる詩をのせ、実りの多い活動を行ってきた。

ソウザはラジオのコマーシャルで3歳のころからレコーディングのキャリアをスタート。200以上のジングルやサウンドトラックを収録しており16歳のころにはファーストコールのベテランとなっていた。ジャズの作曲の学士号を取得した母校であるボストンのバークリー音大では4年間教官を務めた。ジャズ・スタディの修士号はニューイングランド音楽院で取得。世界中でマスタークラスを行い後進の指導に当たっている。

2005年から2010年にかけてルシアーナは名誉あるSan Francisco Performancesという団体のレジデント・ジャズアーティストを務め、Jazz Journalists AssociationsのBest Female Jazz Singer賞を受賞。

ビルボード・マガジンで“ルシアーナはジャンルをナチュラルに超えて人々を魅了するユニークなアーティストである。彼女の音楽では、感情の豊かな表現にとどまらず、物思いに浸るような悲哀やロマンティックな切望、喜びに満ちた称賛を聴くことができる”と高い評価を受けた。

 

ルシアーナ・ソウザ(Luciana Souza) ディスコグラフィー

Book of Longin Speaking in Tongues The Book of Chet [輸入盤] Duos III [輸入盤] The New Bossa Nova Duos II Neruda North & South Answer to Your Silence