Pass the Baton! 018は東京より
伊藤 大輔さんのインタビューをお届けいたします!
プロフィール
DAISUKE ITO
伊藤 大輔 / Daisuke Ito
歌い手。
ジャズ、ポップス、クラシック、英語、日本語、オリジナル楽曲から完全即興まで、 ジャンルや時代を超えて幅広く歌を紡ぐ。
ソロコンサートやゲスト出演の他、コラボユニットも展開、年間200本を超える公演をコンスタントに行う。Jazz色の強いものから、日本語のオリジナル曲が中心のものから、アカペラグループまで、常に並行して5~10個のユニットやプロジェクトを抱えている。
エフェクターとマイク1本でのパーフォーマンス、“Voice Solo”をライフワークとするなど、歌い手としての”声”を深化、追求する活動も展開中。
近年はスイス、マレーシア、香港などのジャズフェスティバルやアカペラフェスティバルへの招聘も続き、海外にも活動の幅を広げる。
柔らかく情感あふれる歌唱とトーク、ハイセンスなステージパフォーマンスは、幅広く支持されている。
ディスコグラフィ
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”Metamorphosis”/Triple Standard
”歌のある日”/伊藤大輔 永田ジョージ 西部里菜
”FORWARD”/Root BAGU feat.伊藤大輔
伊藤 大輔 インタビュー
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ジャズを歌い始めたきっかけは何ですか?
友人に連れて行かれたライブでした。譜面もなくリハーサルもなく突然曲が始まり、すごい世界まで音楽が昇華した後にきちんと着地する様を見て、まるで手品でも見ているような気持ちになったのを覚えています。
- これまでの活動で苦労したことやその解決策を教えてください。
歌い手、というのはとかく他のミュージシャンからもお客様からも軽く見られがちだと思います(だからこそお客さんと音楽の架け橋にもなり得るとは思いますが・・・)。
そのイメージを脱する事にまず最初に苦労しました。大先輩方のステージにも影響を受け、ステージではふてぶてしく、ステージを降りたら謙虚かつ探究心を保つ、という事を心がけました。
どちらのことにしても、勢いや根性だけではなく、具体的な原因と対策を一つずつ考え、具体的に行動していく中でいろんな事が見えてきたように思います。
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どのようにジャズを歌う勉強を重ねてきましたか?
きっと永遠に道の途中なのだとは思いますが、闇雲にたくさん聴いたり歌ったりすることよりも、自分の心に響くものだけを拾い上げて吸収する、というのが自分には合っていたようでした。
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ジャズを歌うことのどんなところが好きですか?
自分が向上していく分だけ、目に見えて自由に、快適に歌うことができるところだと思います。まだまだ、思いのままに、とまではいきませんが、手足を伸ばしきって歌える心地よさがジャズにはあると思います。
また、ジャンルにこだわらず歌っている自分にとって、ジャズ・スタンダードの歌唱は自分のホームポジションというか、その時点でのポテンシャルの指標のようなものな気がしています。
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自分の歌の良さはどんなところだと思いますか?
なかなか自分で判断するのが難しいところではありますが(笑)、自分の美意識に向かって正直で貪欲なところ、でしょうか。そういう歌こそが心に響くはずだと信じています。
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健康管理のために日頃、どのようなことに気をつけていますか?
身体と心のバランスを見ながら食生活を送ることと、最低限の筋力トレーニングなどの身体づくりです。
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あなたにとってのジャズとは?
その場にいる人や、発されている音や空気を全肯定すること、また、自分が美しく素敵で面白くて心が動くと思う事を表したい、というスピリットの名前だと思います。
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アーティストとして将来の目標や今後の抱負などお聞かせください。
アーティスト、というよりは、プロフェッショナル、生業として音楽をやっていく上で、規模はどうあれ、社会に還元される仕事をしていきたいと思っています。アートはそのための手段であると考えています。
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教え始めたきっかけは?
音楽専門学校時代に師事していたアメリカ人ボイストレーナーに、たくさんの面で感銘を受けたことがきっかけでした。卒業後は教える仕事にまず就こうと考えました。
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エデュケーターとしてはどんなトレーニングを積みましたか?
まさに実地から学ぶ事がほとんどでしたが、21歳の時にYAMAHA PMS講師になり、最初の頃は、相手に不安を与えない話し方、老若男女問わずにコミュニケーションが取れる力を身につける事に注力していました。
レッスン以外の、ワークショップや音楽合宿など、自分の能力では足りないかもしれない内容の企画の依頼も、敢えてお受けして、学ばせていただいてきました。自分が持っていないものを得られる機会が、一番貴重だと考えています。
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エデュケーターとしての活動で一番大切にしていることは?
色んなタイプのエデュケーターの方がいらっしゃると思いますが、僕の場合は、具体的な正解のようなものを提示するのではなく、できるだけ多くの選択肢を提示して、自分で考えて選択してもらうことを心がけています。
過去の作品のタイトルやコンテンツ
歌のある日”/永田ジョージ 伊藤大輔 西部里菜
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創ることになったきっかけは?
俳優の柴俊夫さん主催のチャリティコンサートにこのメンバーで招聘いただき、その延長線上の企画でCD制作の話をいただきました。
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コンセプトは?
日常の中に寄り添える歌をコンセプトに、国内外の名曲からオリジナル曲まで、全曲バラードを選曲しました。
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選曲やそれにまつわるエピソードなど、教えてください。
ピアノのジョージくんと僕が、長年一緒に作品を作りたいと持っていた歌い手、西部里菜さんとの念願の作品なので、お互いの大事にしている曲ばかりを詰め込みました。
声を合わせることが本当に幸せだったので、とにかくシンプルにメロディや言葉が美しい曲を中心に選曲しました。
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アレンジやその他の準備はどのように行いましたか?
ジョージくんのピアノ一本と歌、というシンプルな編成だったので、ジョージくんを全面的に信頼し、奇をてらわず、僕らの歌に寄り添うように自然にアレンジをしてもらいました。
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メンバーのみなさんのご紹介をお願いします。
ピアノ・永田ジョージ
Triple Standardというグループでも苦楽を共にする盟友。
このグループでは、今まで、スイスとマレーシア、2度の海外ジャズフェスティバルへの招聘も実現しました。音楽に対する真摯さと、誰も真似出来ない行動力にいつも助けられています。
ヴォーカル・西部里菜
子役の女優さんとしてデビューしながら、10代のうちにシンガーソングライターに転向。
広く温かい母性と、艶やかな色気を兼ね備えていながら、高い品格も持ち合わせている、という稀有な歌い手さんです。現在はご家族で地中海に浮かぶ島、マルタ島に在住。
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レコーディングの環境はどのように決めましたか?
レコーディングは、色んな面でとても繊細な作業なので、音への信頼だけでなく、僕らのメンタリティにも最大限の配慮してくれる、信頼できるエンジニアのいるところを選択しました。
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もっとも心を砕いた部分は?
歌う音や言葉や、その時間を愛おしく思うこと。このレコーディングに関しては、心を砕かずとも三人共自ずと全てを慈しんで臨んでいたと思います。幸せなレコーディングでした。そしてそういう気持ちと同じだけ、客観性を持って制作しました。
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その他楽しいレコーディング秘話があれば教えてください。
もう全てが楽しかったのですが(笑)、三人共関東に住んでいながら、レコーディングは神戸で行ったため、ホテル泊で2~3日かけて録りました。そのためちょっとした合宿気分もありましたし、皆でずっと同じ時間を過ごしながら制作できたのがよかったです。毎日、終わった後のビールがうまかったです(笑)。
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最後に、ジャズファンのみなさん、他のシンガー・ボーカリストのみなさん、またはJVAJの活動へのメッセージをお願いします。
元来、音楽は”音を楽しむものだ”と、もう無限に繰り返し言われてきています。
リスナーの方々には、本当の意味で音を楽しみ、日本の音楽文化を盛り上げて欲しいです。
知っている曲だから、超絶技巧だから、演奏している人の顔が好みだから(笑)、そんな楽しみ方もあるでしょうが、是非どんな音にも楽しみを見出してみて欲しいです。
演る方としては、なかなか音を楽しむまでに時間がかかるものですが、楽しい音には、必ず具体的な理由があるものなので、自分なりにそれを探求して、自分を飽きさせない方法を考えながら向上していけたらいいのかなぁと思います。
そういう音は、聴いている人を、何も考えなくても楽しませることができると思っています。
JVAJの活動は、そういった意味でも、とても意義があるし可能性があると思います。
運営のメンバーの皆さんの中には、海外で学んだ方も多いと思いますが、日本とそれ以外の国とでは、当然、文化や、心の癖の傾向も違います。日本で学んでいる人たちの心をくすぐる活動を、これからも期待しております。