Pass the Baton! 003は大阪へ。
東かおるさんのインタビューをお届けいたします!
プロフィール
KAORU AZUMA
東かおる
大阪府出身。
2000年第1回神戸ジャズヴォーカルクイーンコンテストにて最年少で出場し審査員特別賞を受賞。関西での活動後、2003年ニューヨーク市立大学City College校音楽部ジャズ科への合格を機に渡米。ハーレムに住みながら、現地の教会で毎週クワイヤーメンバーとしてNegro spiritual等を歌い、マンハッタンのジャズクラブ55 Bar にも出演し注目を集める。
2006年6月、1st アルバム『The Water Is Wide』をリリース。スイスやベルギーのラジオでオンエアーされる。2008年5月、同大学BFA博士号を取得、プロ・ミュージック・アワードを受賞し卒業。その後、帰国。それと同時にジャズのインストゥルメンタルで知られる曲のみを集めた『Footprints in New York』をNYで録音、日米両国でリリース。歌詞の無い曲には独自で歌詞を付け(英語・日本語)またアレンジもし、ユニークでクリエイティブなヴォーカリストとして注目を集めた。
2009年2月、NYのCornelia Street Cafeで行われたCDリリース記念ライブを成功させる。NYのジャズ雑誌Jazz Improv Magazine にてCDが取り上げられユニークなコンセプトと歌唱を高く評価される。
2010年4月ニューオリンズのFrench Quarter Festival に出演。帰国後も国を超えたボーダーレスな活動を続けている。
2011年3月、リトアニアでのInternational Jazz Voices Competitionセミファイナリストに選出され、アジア圏から唯一、日本代表として出場。
2011年10月、アメリカ人ギタリストJesse ForestとのユニットStar In Greenから“Star In Green”をリリース。NYのZINC barや、バーモント州で行ったCDリリース記念ライブで成功させる。
2013年12月、ピアニスト西山瞳との共作アルバム”Travels”をリリース。高い芸術性によるアンサンブルからなる音楽として多方面で注目を集め、今もなお高い評価を受けている。
2015年4月、ピアニストPhillip Strangeと初となるジャズスタンダードアルバム”Wonderlands”をリリース。その高い完成度とインタープレイが高い評価を得、Jazz Japan誌の『今月のニュースター』として大きく取り上げられる。
スタンダード,コンテンポラリー,器楽曲,オリジナル,ヴォイスと様々なスタイル、声を使った幅広い表現の出来るジャズヴォーカリストとして、アメリカ・日本のミュージシャンからライブオファーを受ける事も近年は増え、Way Out West 10月号(’15年)にて 『日本の未来を担う、日本のジャズヴォーカリスト』の一人として選出される。
エデュケイターとしては、後進の指導にはじまり、日本でまだ珍しいとされる『Jazz Vocal Ensemble』を2012年に結成し毎年指導にあたる。また定期的に『ネイティブのJazz Vocal発音ワークショップ』を開催。
Kaoru Azuma was born in Osaka, Japan 1977.
She started her professional career during her junior college year in Osaka, Kyoto, and other parts of Japan. In 2000, she got the one of the prizes of the Kobe Jazz Vocal Queen Contest. In 2003, she moved to New York to perform and enrolled in the jazz studies program at the City College of New York.
Kaoru’s knowledge and education in music comes from great singers and musicians such as Mark Murphy, Sheila Jordan, Suzanne Pittson, Kate McGarry, Mike Holober and Scott Reeves in New York. After receiving her BFA degree and the Pro Music Award from City College, Kaoru began performing in clubs such as the 55 bar, the Cornelia Street Café and others while collaborating with New York-based musicians.
In 2006, Kaoru’s 1st CD, The Water Is Wide was released in the U.S. and has had airplay in Belgium and Switzerland. In 2008, Kaoru’s 2nd CD, Footprints in New York (River East Music 1002, 1003), was released in the U.S. and Japan.
Her selections are primarily compositions associated with the great jazz masters.
Her CD was reviewed and recommended as a Hot New CD for Summer 2009 by Jazz Improv Magazine. In 2010, Kaoru was selected as a guest vocalist with Japanese All Stars from Kobe City for the French Quarter Jazz Festival in New Orleans, where she performed a series of acclaimed shows. In 2011, Kaoru was selected as one of the semifinalists for the 10th International Jazz Voices Competition in Klaipeda, Lithuania.
The unit Star In Green with guitarist, Jesse Forest released its 1st album Star In Green (River East Music 1003) in October 2011. In 2013, Travels (APLS-1305 Apollo Sounds) with co- leader Hitomi Nishiyama, was released.
Throughout she has been known as a remarkable and creative jazz vocalist, composing original music, writing lyrics on re-imagined instrumental tunes, doing free improvisation, and contributing unique arrangements to the jazz canon.
ディスコグラフィ
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Wonderlands/ Kaoru Azuma & Phillip Strange
Daikimusica 2015
Travels/ Kaoru Azuma & Hitomi Nishiyama
Apollo Sounds 2013
Star In Green/ Star In Green (Kaoru Azuma & Jesse Forest)
River East Music 2011
Footprints In New York/ Kaoru Azuma
River East Music 2008
インタビュー
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ジャズを歌い始めたきっかけは何ですか?
日本:90年代渋谷系J-POPやフュージョン→フランス:フレンチポップスやシャンソン→ブラジル:ボサノバ→アメリカ:ジャズ という経路でアメリカ大陸のジャズに辿り着きました。
高校生の頃は表現の場を求めて芸能界入りを目指し、オーディションに勤しんでおり、いかに人が歌わない曲を歌うかにこだわり、気付けばジャズまで来てしまったので芸能界入りの道からシフトチェンジしました。
英語教師だった父の影響もあり小さい頃から英会話に行かせてもらっていて、英語の歌詞には違和感なく入れましたし、英語の持つリズムに魅力を感じていたので本格的に学ぼうと高校卒業後はジャズヴォーカルレッスンに通いました。
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どのようにジャズを歌う勉強を重ねてきましたか?
レッスンに通いだしてすぐ、ジャズヴォーカルの先生から「本気でプロになりたいのか?」と聞かれ、訳も分からないなりに「はい」と答えてしまったのが私のジャズ人生の始まりだと思っています。
その先生から、だったら1日でも早くニューヨークに行って修行すること。資金がないなら働いて貯めること。を言い渡されました。教室を出て“ジャズバーでウエイトレス兼シンガー募集”の紙が掲示板に。
結局そちらで留学するまでの6年間働きながら留学費用を調達しました。有難いことにほぼ毎回、歌わせてもらって、帰って来ては夜中その録音を聴いて復習。昼間は声楽のレッスン、歌詞の発音読解、譜面作成、理論等の練習に励みました。
実践でやって来れて良かったと思います。そうやって短大卒業後はジャズバーで働きつつライブ活動をスタートして、留学の為にTOEFLの専門学校にも行きながら本格的に本場でジャズを学ぼうと大学受験の準備を進めていました。
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健康管理のために日頃、どのようなことに気をつけていますか?
睡眠・バランスの取れた食事・適度な運動・ラジオ体操・マヌカハニー・マスク・加湿。
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もっとも尊敬するアーティストは?
ライブ共演者。Norma Winstone, Kurt Elling, Me’Shell Ndegeocello, Luciana Souza, Frank Sinatra, Billy Holiday, Sheila Jordan, Shirley Horn, Art Farmer, Maria Schneider, Pat Metheny.
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アーティストとして将来の目標や今後の抱負などお聞かせください。
近年は日本やアメリカのミュージシャンのオリジナルを歌わせて頂くことも多いのですが、ステージで歌えるまでに昇華することがやっとという現状から、いかにそれらの音楽を少しでも取り入れて自分のオリジナルに反映させていけるか、が今後の大きな目標です。
ただ現在は子育て真っ只中におり、日々子供を中心としたライフタイムにつき、音楽に向き合える時間が出産前に比べて激減しています。なので、いかにスムーズに仕事・家庭・歌い手モードに切り替えるかがキーワードになっています。アーティストモードになるのは、今は自分でもいつなのか分からないところが正直な気持ちですが、日々の生活の積み重ねがステージに生きていると信念を持って、真摯にその時を生きる、これのみです。
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エデュケーターとしてはどんなトレーニングを積みましたか?
ジャズ業界を見始めた10代の頃から、将来はパフォーマンスをしつつ教えていく仕事に就こうと思っていたので、自分が受けたレッスンや大学での授業全ては、“いずれ自分のレッスンに活かす“という気持ちで、先生の発する一言一句をしっかりメモしていました。
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ご自分のレッスンの良さや、ユニークな点はどんなところですか?
実際にステージに立たれている方、ジャズ以外のジャンルの方、ヴォイストレーニングや理論だけで来られている方、CD制作のフォロー、様々な方にお越し頂いている中で、何よりも基礎の重要さを伝えています。
基礎があれば、自ずと自らで応用=コントロールしていけると思っています。その上でそれぞれの個性を見極め、そこを伝えてスキルを伸ばし、修正すべき部分は修正する。これは一番私が大切にしているところです。
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レコーディングに関して、作品を創ることになったきっかけは?
“Footprints in New York”は私がNYから日本に永久帰国する時に名刺代わりになるように、と創りました。NYの大学で学び、現地で感じたセンスの詰まった集大成で、インストゥルメンタルの曲ばかりを集めて歌詞を書いたり、ヴォイスで多重録音もしたり、アレンジもしました。
“Star In Green”は2011年の震災がきっかけで、それまでアメリカ人ギタリストJesse Forestとデュオで演奏していたオリジナル・ブラジリアン・ジャズ・ポップスの曲から、愛と希望をテーマに創りました。
“Travels”は長年コラボレーション作業&演奏を重ねていたピアニスト&作曲家の西山瞳さんとの今までの作品集で、ある程度曲数も揃ってきたのがきっかけです。
“Wonderlands”は共演ピアニストのPhillip Strangeさんが長年住まれていた日本を離れ、アメリカへ帰られるというのがきっかけで、それまでライブで演奏したことのあるスタンダードをライブ感が出るように創りました。
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楽しいレコーディング秘話があれば教えてください。
コントロールルームで聴いていると何だか「ス~ス~」という様な音がマイクに入っていて、「気持ち悪いなぁ何の音だろう?」と思っていたら、録音時自分の着ていたブラウスの擦れる音でした。録音時は着る服にも気を付けねばいけませんね(笑)。
それから、口の中の唾液の音がやけに「ピチッ」って入っているな、と思ったら、録音時に喉の為に、とブースで飲んでいた持参して来た“ゆず茶”が原因でした。柑橘系はNG、お水が録音時には一番良い、とエンジニアから教わりました(笑)。
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最後に、ジャズファンのみなさん、他のシンガー・ボーカリストのみなさん、またはJVAJの活動へのメッセージをお願いします。
いつも応援して頂き、どうも有難うございます。これからも、皆さんと音楽を通して出会える事を楽しみにしております。
JVAJの発展を心よりお祈りすると共に、私も何かしら今まで経験して来た事を皆さんとシェア出来たら、と思いますし、沢山の方々との交流や学びのチャンスを大切にしていきたいと思います。