Pass the Baton!【013】亜樹山 ロミ (ROMI AKIYAMA)

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Pass the Baton! 013は東京より
亜樹山 ロミさんのインタビューをお届けいたします!

プロフィール

ROMI AKIYAMA

亜樹山 ロミ / ROMI AKIYAMA

東京都出身。
4才の時からクラシックピアノを習い始める。
高校在学中、女性3人のアコースティックバンドを結成、ギターを弾き、フォークソング、ポップスを歌う。
東京造形大学テキスタイルデザイン科卒。 在学中Jazz研究会に参加、初めてJazzに触れる。卒業後,一時染織工芸家を目指すが、Jazzの夢捨て難く、マーサ三宅ヴォーカル教室に通う 。

亜樹山ロミをリードボーカルとしたジャズコーラースグループ、「Romi & Jokers」を結成。全国のホテル、ライブハウスに出演、
CMソングなどでも活躍。
1983年、キングレコードよりアルバム「Romi & Jokers」でデビュー。
1984年、2ndアルバム「Cheek To Cheek」をリリース。
1986年、日本ジャズボーカル大賞新人賞を受賞。
1988年、CBSソニーより3ndアルバム「A Girl & The Three Men]をリリース。
1991年、ニューヨークで初めてのソロアルバム「My Romance]を録音
キングレコードからリリース。
1996年、Romi & Jokers解散。
2004年、TBMレコードより「Trust My Herat」をリリース。
2008年、What’s Newレコードより「Tapestory of memories」をリリース。

軽快にスイングするリズム感とスローバラードの説得力等が評価され、実力派歌手として都内のライブハウス、イベント等で活躍している。

ディスコグラフィ

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Romi & Jokers (1983)
Cheek To Cheek (1985)
A Girl & The Three Men(1988)

My Romance
キングレコード(1991)
マイ・ロマンス

Trust My Herat
TBMレコード(2004)

Tapestory of memories
What’s New Records(2008)
TAPESTRY OF MEMORIES

亜樹山ロミ  インタビュー

 

  • ジャズを歌い始めたきっかけは何ですか?

 

ジャズを歌い出したのは美術大学のジャズ研究会に入ったことがきっかけです。

子供の頃から鏡の前で一人で歌って踊ったりしている子供でしたが 高校時代まではジャズに触れる機会はあまり無く、大学に入ってからなんとなく雰囲気がステキと全くジャズが何かも知らずにジャズ研に入りました。

練習して来てねと渡されたカセットテープに、ヘレン・メリルの”You’d be so nice to come home to”が入っていました。初めて練習に参加して歌った時に、君は4ビートでなくて8ビートで歌ってるよ、と言われたのを今でも懐かしく思い出します。

それからは エラフィッツ・ジェラルド、サラ・ボーン、アニタ・オデイ、ダイナ・ワシントン、アーネスティン・アンダーソンなど巨匠達のレコードを擦り切れるほど聴きました。

大学卒業後にたまたま音大の友達の紹介でレストランやラウンジでピアノの弾き語りの仕事を始めました。その頃にマーサ三宅ヴォーカル教室、それにコードやベースラインを勉強する為にオルガンのレッスンにも通いました。その頃は結婚式場でのオルガン演奏の仕事もしていて、子供にクラシックのピアノを教えたり、音楽だけでなんとか生きていけるようになりたくて必死でした。

弾き語りの専門の音楽事務所の方に“60曲覚えて立って歌えるジャズのレパートリーが出来たらバンドでの仕事を紹介してあげる“と言われて その言葉だけを頼りに60曲のカラオケを自分で弾いて作って毎日毎日その60曲の練習しました。

その頃はバブルの頃で景気が良くて、ラウンジやホテルではどこでもバンドとヴォーカルが入っていて、本当に60曲のレパートリーが出来た時には新人ジャズ歌手としてラウンジの仕事を紹介して貰えたのでした。ラッキーにもそんな良い時代でした。

 

  • これまでの活動で苦労した事や解決策を教えて下さい。

 

学生時代にきちんと勉強していなかった私にとっては、なんといっても英語が問題でした。ソロ歌手になる前にロミ&ジョーカーズというコーラスグループをやっていて、その頃はハーモニーやリズムばかりに気を取られていた時期でした。本格的にソロ活動もしたいと思い始めた頃に「英語で考えられなくては英語の歌は歌えない」とやっと気付いたのです。気付くのが遅かったけれど、それからは遅れを取り戻そうと英検やTOEICなどひたすら英語の勉強でした。今でも英会話教室に通って英語レッスンは続けています。

英語で考えられるようになっても、とりわけ英語の発音には苦労しました。というかまだまだ苦労しているし進化出来ると思っています。

どうしたらもっとクリアで美しい発音で、そして話す如く英語のリズムで語れるか。

又、例えば話す時と違って単語の語尾の子音をもっと意識することでリズムが見えたりビートが出たりもする。そのように歌う為の英語の特殊なテクニックもあるし、英語で語ってスィングする事は、英語が苦手だった私がまだまだ永遠に追い続けるテーマです。

 

  • ジャズを歌うことのどんなところが好きですか?

 

スタンダードナンバーという珠玉の名作があり、それを自分自身の個性で歌える。同じ歌でもテンポもリズムもノリもフェイクのフレーズも違い一人一人の歌手の個性でこんなにも違う歌なる。それに加えて一緒に演奏するミュージシャンによってインスパイアされて自分の歌が変わって来る。そしてその曲を歌えば歌うほどに自分の身体に沁み込んで熟成して自分の歌になっていく。それがジャズを歌う楽しさだと思います。

まずは誰かの演奏を聴いて素敵な歌だなと思ったら、まずは歌詞を読み込みます。それで歌詞が気に入ったらオリジナルの譜面通りのメロディー歌ってみます。歌い込んで時間を掛けてからやっとステージに掛けます。そして歌い続けている内にその曲が自分の歌になっていきます。中には何度歌っても何か違うと感じてお蔵入りする曲もあり。でもその曲が忘れた頃に人生経験を積んで突然歌えるようになったり。そんな時は歳を重ねるのも悪くはないなと思ったりします。

ジャズの面白さにはバンドとの一瞬一瞬の一期一会があります。全くいつもとタイプの違うミュージシャンとご一緒するのは緊張感があってスリリングだし新しい世界が見えたり、又自分の歌を良く知ってくれていているミュージシャンと一緒で安心して乗っかるのも心地良い。インスパイアされて気持ちよく歌えた時は天にも昇る気持ちです!

 

  • 健康管理の為に日頃どのような事に気をつけていますか?

 

何年か前に母の介護が厳しくて私も一緒に心身共に体調を崩し痩せ細った時期がありました。録音してみるとどんなに気を付けていても度々微妙にピッチが落ちる事があり、ますます落ち込みました。一時はもう歌うのを諦めるべきかとさえ思ったことがありましたが、幸いにも体調が戻って復活出来ました。健康を損なうと音に関する脳からの指令も狂うのでしょうか。この体験から歌手にとっては声帯や喉だけではなく体全体が買い替えのきかない楽器なのだ、としみじみ思ったのでした。

旅行に行ったり、美味しいものを食べたり飲んだり、音楽以外の事にも好奇心を持って探求したり、とにかく悩み過ぎずストレスを溜めず健康をキープしたいです。

 

  • アーティストとして将来の目標や今後の抱負

 

一つ一つの歌を自分の人生というフィルターを通して語る事の出来るような歌手になりたいです。

まだビートや、発音、発声と自分自身まだ改善したい点もあり、もう少し納得出来るのを待って是非、又アルバムを作りたいと思っています。

 

  • エデュケーターとしての活動で一番大切にしている事は?

 

最近ではジャズを掘り下げたいという生徒の他に、子育ても一段落して昔聴いたジャズを楽しんで歌ってみたい、大病を克服して健康の為に歌を歌ってみたい、と色々な目的でジャズヴォーカル教室に来られる生徒さんが増えています。そしてそういう方が歌えるセッションの場も増えています。

単にジャズの技術教えるというレッスンではなく、それぞれの生徒さんとお話しする中で、その方の生活、性格や望む事を知り、それぞれに寄り添った教え方をするように心掛けています。

しかし他の音楽ではなくジャズを選んでくれたのですから、スウィングする、グルーブする楽しさを知って貰いたくてビートに関しては根気よく身体に沁みつくよう教えるようにしています。それと英語の発音は自分が苦労した経験もあり、鏡を一緒に見ながら口の形や舌の位置を確認しながら丁寧に教えます。

発表会や一緒にライブをしたり、生徒さんの歌が少しずつ成長するのは本当に嬉しいです。

 

  • 最後に、ジャズファンのみなさん、他のシンガー・ボーカリストのみなさん、またはJVAJの活動へのメッセージをお願いします。

 

昔はホテルやラウンジで集客を考えずに済む仕事場がありましたが、最近は歌う場所はライブハウスが多く、どこのライブハウスでも歌手は集客という重い責任を負わされています。

音楽の水準よりも集客出来る事が価値になってしまいそうな世の中に危機感や疑問を感じている歌手や関係者も多いと思います。そのような状況の中でライブ活動を続けていくのは大変な事です。

辛い事も多いですが、それでも声が続く限り諦めずに歌い続ける事、進化を信じて練習し続ける事。私も自分を信じて歌い続けるつもりです。