国際的エデュケーターからのメッセージ、
第7回目はロサンゼルスを拠点に世界中でご活躍の、
バーバラ・モリソンさんのインタビューをお届けいたします!
“自分の物語を他の人の物語と繋げられる、もしかしたら、お互いに全然知らない人との物語とも繋げられるかもしれない。それってすごい事だと思わない?”
Barbara Morrison – バイオグラフィー
ミシガン州生まれ。
今では (Queen of Blues) ブルースの女王と呼ばれるバー バラは10歳にしてラジオ番組にて最初のレコーディングを皮切りにプロ入りし、1973年にLAに移り、現在の”レジェンド”と呼ばれるキャリアをスター トする。
1986年に、フィリップ・モーリス・スーパーバンドにてカナダ、オーストラリ ア、日本、フィリピンの計14ヶ所のツアーに参加。バンドメンバーは伝説のジャズオ ルガン奏者、ジミー・スミス、サックス奏者、ジェームス・ムーディー、ギタ リスト、ケニー・バレル等。
映画”オズの魔法使い”の音楽作曲者で知られるハロルド・アーレンのオール スター・トリビュート・バンドのツアーではアメリカ都市33箇所を回る。
すぐに彼女の才能は認められ、ジャズとブルースの世界では誰もが知る大御所 アーティスト達、ジェラルド・ウィルソン、ディジー・ガレスピー、サンタ ナ、バディー・ガイ、ロン・カーター、エタ・ジェームス、エスター・フィ リップ、ジョー・サンプル、トニー・ベネット(他多数)と演奏を重ね、カウ ント・ベーシー・オーケストラではゲストシンガーとして招かれ、モントレー・ジャズフェス、ノースシーフェス等の一流ジャズフェスにも出演、ジャ ズクイーンの名を欲しいままにした。
またレイ・チャールズのオープニングアクトとして日本を含むワールドツアーにも参加している。 1995年には、エラ・フィッツジェラルドのトリビュート番組に招かれ、ダイア ン・リーブス、スティービー・ワンダー、チャカ・カーン、トニー・ベネット らと共にテレビ出演。
最近では、ビッグバンドと共に、自身が監修するブルースの女王ダイナ・ワ シントンのトリビュートミュージカル”I wanna Be Loved”が新聞メディアで も話題となっている。
彼女の、ブルースとジャズを基調としたソウルフルでメロディアスな3.5オクターブの歌声は、世界中の聴く人の心を捉え続けている。
バーバラ・モリソン インタビュー
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バーバラさん、こんにちは!2017年7月の来日を前に、どのようなお気持ちですか?
日本の友達やファンの皆さんに会えるのを本当に楽しみにしているわ!
更には自分の友達たち(バンドメンバー)とも行けるんだからこれ以上に楽しい事はないわよ!
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バーバラさんにとって憧れのアーティストは誰ですか?最もお気に入りの方を何人か教えてください。
大好きなミュージシャンは沢山いるけど、名前を挙げるなら、
スチュアート・エルスター(p)、リチャード・サイモン(ba)、リチャード・テイラー(ba)、マイケル・ソシエ(ba)、ピーター・バック(ds)、チャールズ・スモール(gt)、大岡遊(gt)ね!
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ジャズやブルースを歌うことのどんなところが最も好きですか?
まず、カントリーやR&B、ロックもジャズも全部好きだけど、私はブルースがとにかく大好きなの。
もちろんブルースは皆好きだと思うんだけど。
その中でも“デルタブルース”が私は一番好き。
なぜなら、デルタブルースは、ソウルであり、古い土地から生まれたルーツであり、ブルースの始まりだと思うから。
モダンブルースも嫌いじゃないわよ。
ジョー・ウィリアムス(vo)も好きだし、でもやっぱり古いのが好きね!私はおばあちゃんだから!
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あなたの音楽について、最も気にかけていることは何ですか?
歌っている時に自分がどう見えてるか(どのように自分をプレゼンテーションするか)
そして、私の一番のフォーカスは“正しいピッチで歌う事”。
たまに、よく眠れなかった次の日や、ピッチをコントロールするための筋肉を使うエクササイズを十分にしていない時は、ピッチが悪くなるの。
そんな時は最悪で、自分自身に怒る時もあるわ!
私は、両足膝下を切断しているから、椅子に座って歌う事がほとんどなんだけど、これって大変な事だから、今でもエクササイズは欠かさないわよ。
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製作についてはいかがですか?これまでのレコーディングでのエピソードなど、教えていただけますか?
スタジオでは更にピッチに気を配るわ。
レコーディングは好きだし、人が録音したのを聞くのも好き。
例えば、録音してから2週間程時間を空けてから、自分の録音でのピッチが大丈夫かを聞いたりする事もある。
私は、その部分についてはすごい細かい性格なのね!(笑)
その点、最近出た新しいアルバムは、満足していない部分もあるんだけど。
クラーク・テリー(tp) ジェームス・ムーディー(sax)と以前アルバムを録音したんだけど、エンジニアがその後にファイルを全て間違って消してしまったの。
録り直したくてもその二人はもう亡くなってしまってるから出来ないし。
あれは、今までで最悪の思い出ね。
もちろん楽しい思い出も沢山あるわよ。
今までに沢山のレコーディングをしてきたけど、有名なアーティスト達とも録音したわ。
その中でも、例えば、ナンシー・ウィルソンやエタ・ジェームスのためにデモを録音したりもしたわね。
ある日、クルセイダーズに頼まれて、ナンシー・ウィルソンのために録音したの。
もちろん、スタジオには、ジョー・サンプル(p)やウィルトン・フェルダー(sax)の二人もいたわよ。
“The Way It Goes”という曲で、とても素晴らしい曲だったし、何よりもナンシー・ウィルソンのために録音できたというのは最高の思い出ね。
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ロサンゼルスのバーバラ・モリソン・パフォーミングアーツセンターで毎週水曜日にワークショップをなさっていますね。教育者として教え始めたきっかけは何ですか? また、教育者として気に掛けている事、なぜ教える事が好きか、目標などを教えて下さい。
教えるのは好きよ。
特に若い人に教えるとスポンジみたいにどんどん吸収して行くし、何でも知りたいから質問してくるんだけど、たまに私自身も分からない事があると勉強しなければならないし。
そうやって私自身も生徒から学べるの。
ワークショップでは毎週2曲自分の歌いたい曲を持ってきてもらうんだけど、生徒さんが私が知らない曲を持ってきたりすると、その曲を私自身のレパートリーにも入れたりしてる。
特に、教えている時に、最初は分からなかった生徒が、理解できたり、自分のものにした時の姿を見るのは、教える立場として、至福の時だわ。わからないところがあれば生徒さんは戻ってくるからね。
3曲の歌詞とメロディーをつなげてメドレーにしたものがあるんだけど、最初は理解していなかった生徒さんも、最後まで歌うととても素晴らしい歌になっていたわ!
シンガーは歌の中で物語を伝えなければならないでしょ?
ラブソングもあれば怒っているような曲もある、様々なタイプの曲を、自分の中で消化し、自分の物語として伝えるか、それが大事だと思うわ。
そうやって自分の物語を他の人の物語と繋げられる、もしかしたら、お互いに全然知らない人との物語とも繋げられるかもしれない。
それってすごい事だと思わない?
レパートリーはどのくらいありますか?
レパートリーは数え切れないけど、少なくても4000曲はあるわね。
不可能な数字と思うかもしれないけど、本当よ。
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自分をクリエイティブに保ち、周りの人に多くを与え続けるコツを教えてください。
とにかく上を向いて、進み続ける事!
ネガティブな事は全部捨てないとダメよ!
人生には嫌な事も沢山あるだろうけどとにかく気にせずに前進あるのみ。
宇宙には必ずあなたが成功する何かがある事も知らないとダメよ。
だから、自分を信じて、とにかくそうやって上を目指して頑張っているような人達を探すのも大事だし、その人達の中に自分の身を置くのも必要ね。
そうやって前進し続けると、たまには、立ち止まる事も必要なの。
なぜなら、あなたが探し求める余りに、あなた自身が速く歩き過ぎて、探し求めているものが見えない時もあるから。
ケニー・ロジャースも“The Gambler”の中で歌ってたわね、You’ve got to know when to hold them. Know when to fold them” “タイミングを知らなきゃダメ。どんな時に持つのか、どんな時に抱え込むのか”ってね。
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最後の質問になりますが、日本のシンガーに向けて、メッセージをお願いします。
日本で、とても自信を持って歌う人もいればそうでない人もいるのを見た事があるけど、それはアメリカでもどこでも同じだと思うの。
だからもっとリラックスして“自分は歌えるんだ“って自分を信じて歌うのが大事だと私は思うわ。
周りの人が言う事なんて気にしなくていいし、周りの人があなたの歌をどう思ってるなんかも気にしないでね。
あとは、自分自身にそんなに批判的にもなっちゃだめ。
なぜなら神様は他の人にも与えている同じものをあなたにも与えているんだから。
日本で皆に会えるのをとても楽しみにしているわ!
ご協力、どうも有難うございました。
バーバラ・モリソンさんは、7/19(水)、Motion Blue Yokohamaに出演予定です。
公演に関するインタビューが「jazzLife」2017年7月号にも掲載されています。
このインタビューはLA在住のギタリスト大岡遊氏のご協力のもと行われました。ご協力有難うございました。