Pass the Baton! 010は東京より
沖野ゆみさんのインタビューをお届けいたします!
プロフィール
YUMI OKINO
沖野ゆみ / Yumi Okino
東京生まれ。子供の頃より父親の転勤で渡英、ロンドンに14年滞在する。ウエストエンド本場のミュージカルに魅了されロンドン市内にある名門演劇学校”Mountview Theatre School”のオーディションに最年少(16歳)・初の日本人として合格、3年間ミュージカルシアターを学ぶ。イギリスにおいて数々のショーケース、TV、CM出演を経験。日本に帰国後ジャズに目覚めジャズヴォーカルを学び、ライブハウスで活動を開始。
現在、都内・横浜方面のジャズクラブやライブハウスを中心に音楽活動を展開。レパートリーもジャズスタンダードからソウル、ポップスまで幅広くカバー。デュオ編成からビッグバンド編成まで柔軟に対応出来るバイリンガルヴォーカリストである。アクティブで明るくパワー溢れるステージングに定評を頂き地方公演、ホテルラウンジ、パーティーやイベント出演も多数依頼を受けている。
2008年2月20日にファーストリーダーアルバム ”Start Me Up”をリリース。ジャズスタンダードだけに留まらずビートルズやスティーヴィー・ワンダー、アースウィンドアンドファイヤーの名曲などもカバーし自身のアレンジで個性豊かに歌い上げた作品。
2010年8月24日に2枚目のリーダーアルバム”With A Song In My Heart”をリリース。Rogers & Hartの作品集として、ファーストと同様、自らアレンジを手掛けた作品。第一線で活躍する11人のジャズメンとの共演が豪華なアルバム。
2016年6月29日にリリースされたピアニスト清水ゆかり氏の3rdアルバム”Sol Naciente”に参加。作詞とボーカルを担当した清水氏のオリジナル曲、West Side Storyのカヴァー楽曲は清水氏の美しいセンスやアレンジが光る作品に仕上がっている。
ディスコグラフィ
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start me up
Sky Bite Records (2008)
With A Song In My Heart
(2010)
沖野ゆみ インタビュー
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ジャズを歌い始めたきっかけは何ですか?
小学生の頃から歌うことが好きで、歌番組のオーディションに中森明菜さんのモノマネで応募したこともありました(笑)。
12歳で渡英し、イギリスの中学校では合唱部に所属し、15歳の頃にミュージカルの舞台に初めて出演、同時に隣の学校の男子生徒が結成したアマチュアロックバンドにバックヴォーカリストとして参加したりと、昔から歌に親しんできました。
子供の頃から大好きで観ていた1940~60年代のミュージカル映画に憧れてミュージカル役者を目指し演劇学校に3年間進学、卒業後暫くバイトをしながら役者をしていたのですが、東洋人の私にとってイギリスで役者として仕事を得るのは難しく、両親が帰国してから自力で生活していくにあたって役者の道を断念し、就職しました(サービス業から社長秘書まで幅広い職種に就きました!)。
諸事情により帰国することになり、エンターテイメント業界とは全く関係のない職種に就きましたが、知人がジャズヴォーカルを習っていると聞き、英語を忘れないためにも趣味でジャズを歌ってみようと思いました。ジャズスタンダードと呼ばれる楽曲の多くは私が親しんできたミュージカルからの曲のものだったこともあり、私にとってとても自然なきっかけでもありました。
友人にジャムセッションに誘われ、じゃあ次はライブやりましょうとなり、歌い始めて浅い時期から活動がスタートし、ヴォーカル講師のお仕事にも恵まれ、現在に至っています。当時は自分がプロのヴォーカリストになれるなんて夢にも思いませんでしたが、当に縁は異なものです。
私はとてもラッキーだったと思います。
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これまでの活動で苦労したことやその解決策を教えてください。
誰にでも言えることだと思いますが、何も分からないところから始めるにあたって色々な失敗を経験しましたが、私は多くのミュージシャンの先輩方に恵まれました。
先輩方から教えて頂き、場数を踏むことによって一つ一つ学ばせて頂きました。分からない事は素直に聞く。今でも日々学ばせて頂いています!
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自分の歌の良さはどんなところだと思いますか?
ジャズ音楽はインストルメンタルには敵わないと思っています。
ただ一つ、歌には歌詞があるので、その歌詞に込められた思いを言葉で表現出来ることはとても魅力的なことだと思っています。
自分なりの解釈でその歌詞を理解し、その主人公になったつもりで表現すること、大袈裟に感じられることもあると思いますが、私はヴォーカリストである以上にエンターテナーでありたい、歌唱だけでなくステージングも楽しいものにしたいと常に考えています。
これは演劇学校時代の過酷なレッスンの賜物です(笑)そして共演者とのコミュニケーションも大切にしたいと心掛けています。ここ最近ではビッグバンドで歌う機会も増え、デュオから大人数編成まで幅広い編成で活動出来ていることも有り難いです。
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健康管理のために日頃、どのようなことに気をつけていますか?
たんぱく質をしっかり摂っています。私の食生活の基本は肉、肉、肉です(笑)。
そしてここ数年は毎朝手作りのグリーンスムージーを欠かさず飲んでいます。声質から酒好き、喫煙者と思われがちですが、レッスンやライブ等歌わない日が殆どない生活の為、ここ数年は喉を潰さないようにお酒は殆ど飲まなくなりました。禁煙者です。そして鼻うがい、お薦めします!
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もっとも尊敬するアーティストは?
尊敬するアーティスト(ヴォーカリスト)は沢山いますが、私の永遠のアイドルはFrank SinatraとFred Astaire、ジャズヴォーカリストを志すきっかけとなったヴォーカリストはSarah Vaughnです。
大きなフェイクもせず歌い上げるSinatraのストレートな歌唱はそのまま、ストレートに心に響きます。ここは私の目指すところでもあります。
Astaireは1930年代から60年代にかけてタップダンサー、俳優、ヴォーカリストとして活躍されましたが、その多才さと華麗なステージングはエンターテナーとして憧れます、美しいです。
私が15歳の時に初めて買った女性ジャズヴォーカリストのCDがSarahの作品でした。Lullaby of Birdlandは私がジャズソングとして初めて歌った曲、Sarahの重厚な歌声と抜群のリズム感に衝撃を受けました。
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アーティストとして将来の目標や今後の抱負などお聞かせください。
ヴォーカリストとして活動を開始してから長い間、私は2足の草鞋を履いて生計を立てていました。
仕事をしながら歌っているヴォーカリストは沢山いらっしゃると思いますが、私の場合は平均月13~15本程のライブ活動に加え、3~4か所の音楽学校での講師業、そして某企業の正社員を同時にこなすという壮絶な生活を10年以上送っていました。
今考えると睡眠時間もなく恐ろしいライフスタイルでしたがとても充実していました。
現在は会社を辞めて音楽活動、講師としての仕事に専念しておりますが、当時私の活動に理解を置いて応援して下さった会社に心から感謝しています。この10数年間の中で、音楽的に得た学び以上に、社会人として会社で得た知識やマナーは私の人生の中で大きい財産となりました。
音楽活動を展開している上でも、人とのコミュニケーション能力は不可欠です。自分の歩んできた道が全て無駄になっていないと、ポジティブに感じていますし、今以上に今後の活動に生かしていけるよう、初心と感謝を忘れず精進したいです。
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エデュケーターとして教え始めたきっかけは?
ミュージシャン仲間が音楽学校を経営していて、ヴォーカル科の講師として声をかけてくれたことがきっかけでした。現在、4つの音楽学校のヴォーカル科講師、プライベートのヴォーカルレッスンでトータル50名程の生徒さんをお教えてしています。
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エデュケーターとしてはどんなトレーニングを積みましたか?
ヴォーカリストとしては14歳の頃から声楽を学び、イギリスでヴォーカルコーチとして著名なアーティストを育ててきたMary Hammond氏、Mountview Theathre School在籍時はPaul Sabey氏に師事しました。
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自分のレッスンの良さや、ユニークな点はどんなところですか?
一生懸命、熱血なところでしょうか、超体育会系レッスンです(笑)。
自分が学んできたこと、持っているものは全て惜しまず生徒さんと共有したいと思っています。私は英語を話すので、Sing like talking、フレーズのリズムの歌い方をアドバイス出来ることに好評を戴いています。長く講師を務めておりますが、教えることは自分にとってとても勉強になっています。
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エデュケーターとして将来の目標や今後の抱負などお聞かせください。
長く講師をさせて頂いている中で、失敗や反省もありました。生徒さんの歌う気持ちに寄り添えるエデュケーターを目指したいです。現在マンツーマンレッスンのスタイルしか受けていませんが、将来的にコーラスワークにも挑戦してみたいです。
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最後に、ジャズファンのみなさん、他のシンガー・ボーカリストのみなさん、またはJVAJの活動へのメッセージをお願いします。
私のインタビュー記事を読んで頂き、ありがとうございました。
今回のJVAJ様の企画で自分自身の経歴を振り返る機会をいただくことができました。「何事も無駄はない」。これからも初心を忘れず、全ての環境に感謝し、オーディエンスに楽しかったと思って頂けるステージを目指していきたいです。