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第5回は、シアトルより、グレタ・マタッサさんのインタビューをお届けします。
誠実さ – 私はジャズを歌うことに関わる技術や技能を学ぶことを誇りに思っています、しかし、それらをジャズの伝統がそうであるように、自然に、かつ目の前の瞬間に合わせ芸術的な方法で応用することが私のいちばんの目標です。
Greta Matassa – Biography
グレタ・マタッサは今日のジャズ界においてもっとも才能あるシンガーの一人である。彼女は15年間に7回、シアトルのジャズを支える団体であるEearshot Jazzから” Northwest Vocalist of the Year”に選ばれている。2014年にもその年のヴォーカリストに選ばれ、lifetime achievement awardを受賞、その年のEarshot Jazz Hall of Fameとなった。
グレタは長年、シアトルのジャズ・ステージの大黒柱として活躍し、ニューヨークのリンカーンセンターにあるDizzy’s Clubでの公演や、ロシア、シンガポール、ハワイ、日本、ニューオリンズへのツアーを成功させ、今、彼女のサウンドは新しい聴衆にも届いている。グレタは高い評価を得ているジャズ・レーベルであるOrigin Recordsから8枚のCDとギタリストMimi FoxとのライブDVDをリリースした。彼女の最新作、”I Wanna be Loved” (Resonance Records)は非常に高い賞賛を受けた。
また、グレタは尊敬される寛大な指導者でもある。彼女はJazz Camp West、Drayton Harbor Jazz Festival、The Fairbanks Summer Arts Festivalで教鞭を取っている。彼女はプライベート・レッスンにおいても人気があり、2016年には新しいCDをリリースする予定である。
グレタ・マタッサ – インタビュー
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グレタさん、こんにちは!! 私たちはあなたの歌や指導にとても興味があります。これまでたくさんの日本人シンガーを指導してこられたと伺っています。どのようにして日本のシンガーとつながりができたのですか?日本人シンガーと学ぶことについてどんなところが好きですか?
2007年、私は姉妹都市である神戸の女性ジャズシンガーのコンテストで受賞し、初めて日本に行きました。その前にも、シアトルの自分のプライベートの教室で数人の日本人シンガーを教えたことがありました。
2013年、不思議なご縁があって、姉妹都市の神戸のジャズ・クイーン、宮藤晃妃さんがシアトルに滞在していたとき、彼女に出会いました。Jazz Alleyでの演奏後、彼女が私の演奏していたジャズクラブに来てくれて、私たちは知り合いました。私は彼女に同年シンガポールでコンサートをすることを伝え、彼女のシンガー仲間やミュージシャン友達と会うため日本にも寄りたいと言いました。彼女はとても親切に私を周りの人たちに紹介してくれ、私はとても楽しい大阪と京都への旅をすることができました。
私は日本人のシンガーさんと学ぶのが好きです。なぜならみなさんがとてもアメリカのジャズに夢中だから。私は初めて日本に行った時、多くのシンガーたちが、私が学んできたのと同じ歌手たちのことを深く勉強していることをとても嬉しく思いました。
- グレタさんの最もお気に入りのミュージシャンについて教えて下さい。
私のお気に入りの演奏家を絞りこむのはとても難しいです。ジャズ・シンガーとしての私に影響を与えてきた人たちは、とてもたくさんいます。
スイングについてはカウント・ベイシーやデューク・エリントンから、インプロヴィゼーションについてはオスカー・ピーターソンとスタン・ゲッツから、多くのことを学びました。
今現在とこの10年くらいの間、私にもっとも大きな影響を与えたミュージシャンは、パット・メセニーだと言わざるを得ないでしょう。彼の熟練したミュージシャンシップと美しい作曲に、深く感動します。私は次のアルバムで、彼の曲に自分の歌詞をのせるプロジェクトに着手しています。
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ジャズを歌うことの一番の楽しみは何ですか?また、ご自分のスタイルのよいところはどんなところですか?
ジャズ・シンギングの中で「私の得意な部分はインプロヴィゼーションです!」と言うのは簡単なことです。
私は画家とともに育ちました、というのも私の父親は抽象派の画家で、ジャズ・ファンだったのです。私は昔、ジャズがいかに絵画における抽象画の表現に似ているかをよく語りました。それは特定の型にはめたり、作曲したりすることの自由さであり、音楽の一つ一つの部分で新しいバリエーションを自然に即興で創ることであり、それらは私もとても表現豊かにしてくれるのです。
私はスキャットが大好きです!私は即興演奏が滅びかけの芸術になってきていることを心配していて、自分自身がアメリカにおいてベスト・スキャットシンガーと呼ばれてきたことを誇りに思っていますし、他楽器のミュージシャンからの賛辞は私にとってとても大きな意味を持っています。
ミュージシャンたちがリズムにおいても即興演奏においても私のことを彼らが聴いてきた中で最も音楽的なシンガーだと言ってくれるとき、それが私にとって最高の褒め言葉です。
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ジャズボーカリストとして最も大切にしていることはどのようなことですか?
自分の音楽にとっていちばん重要なのは、誠実さです。
私はジャズを歌うことに関わる技術や技能を学ぶことを誇りに思っています。しかし、それらをジャズの伝統がそうであるように、自然に、かつ目の前の瞬間に合わせ芸術的な方法で応用することが私のいちばんの目標です。
指導者としては、インスピレーションや新しい芸術的なアイディアを求めて過去の偉大なジャズのアーティストから学んだり、仲間のミュージシャンたちを聴くことで得られる知的なアイディアを持って、スキルと身体の楽器としての自然なありかた(良い状態におさまっていること)のバランスの重要性を強調して伝えようとしています。
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レコーディングについてはいかがですか?CD製作、作品作りのご経験をシェアしていただけますか?
私はCDやデモのレコーディングのためのワークショップをしています。このワークショップでは自分自身の10作品分のレコーディングで蓄積されたすべての情報を生徒さんたちにシェアします。どのようにスタジオでのレコーディングに備えるか、レコーディングのテクニックを理解するか、そしてプロフェッショナルなCD対デモ、ライセンシングのことなどレコーディングのビジネスの部分についてもオプションとして扱います。
意欲あふれるジャズシンガーのみなさんへのちょっとしたアドバイスとしては、”お客様”であるファンの方々がある程度集まるまでは商業ベースのCDの録音に多額の費用を使わないことです。その代わりに、一般的にはコストの面でも安く、時間も短いものになりますが、将来的に商業的な作品をリリースするときに内容をより良くしていけるようなデモを録音することを検討してみてください。
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どのようなきっかけで指導者になったのですか?教えることの何が好きですか?指導者として最も大切にしていることは?また、エデュケーターとしての目標は何ですか?
面白いことに、私はプライベートレッスンをとったこともないし、ジャズの大学も行っていないので、いつも自分で自分を教えて来たのだと思っています。
でも、私には確かに、先生がいました。それは Ella Fitzgerald, Billie Holiday, Carmen McRae, Frank Sinatra、Anita O’day といったアーティストの録音でした。私がジャズについて知っているすべてのことは、このような巨匠たちやプロとして歌ってきた30年間のステージから学んだことでもあります。
私はこれまでの15年間の指導の中で、ジャズを歌うことに関する多くのコンセプトを分析批評し、より効果的な練習メニューにうまく活かすようにして来ました。指導者としては、生徒たちに特定の練習エクササイズやコンセプトを用いることで成功することができるということを感じて欲しいと思っています。
時々生徒たちに話すのは、アメリカのジャズを歌うのは空中で回転する14枚のお皿を落ちないようにすることに似ている、ということです!それはまさに、メロディー、ハーモニー、リズム、曲の構成、即興、声のレンジの問題、呼吸、横隔膜のサポート、好みや芸術的な選択などといったすべての要素の理解の中でのバランス・アクトだからです。
私は、シンガーがこれらのことを同時にやろうとすると挫折してしまいやすいということに気づきました。なので、まずは一つの“回転するお皿”に集中する方法を見つけます。
教えることはは私の音楽キャリアの中でももっとも報われるときでもあります。私は意欲あふれるシンガーたちと、他楽器の友達と音楽を創る楽しさを少しでも分かち合うことが大好きなのです。
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グレタさんの教材について説明していただけますか?どのようなマテリアルなのか、効果的に使う方法など、詳しく教えて下さい。(Trades subscription series, Phrasing CDs, Scat Study CDs, Improv / Stylizing Custom CDs などについて.. )
私は熱意のあるシンガーたちをお手伝いさせてもらう方法をたくさん持っています。
私のウェブサイトのティーチングのページには”practice aids”があります。これらはシンガーがCDやmp3で注文することができる様々な形の教材です。
フレージングのCDでは、1枚のCDにつきスタンダードを2曲、私が参考となるようなオリジナルのメロディーと、どのようにインプロヴァイズ、スタイライズをするかの技術をガイドしています。
スキャットのCDでは、特にスキャット・シンギングの芸術に焦点を当てています。私が2小節、または4小節を歌って案内するテクニックを用いて、シンガーは私の後に真似をして歌うか、トラックに合わせて即興で歌ってみるといったものです。
たぶん、私のいちばんお気に入りの教材は、昨年からスタートした”Greta trades”シリーズです。これは1枚のCDに4つのスタンダード曲が入っていて(2時間)、フレージングの勉強であり、即興の練習にもなっています。
シアトル以外の場所に住むシンガーのお友達にFaceTimeやスカイプでレッスンをすることもありますよ。
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どのように自分自身をクリエイティブに保ち、周りの人々に与えることを継続しているのか、教えて下さい。
芸術家としては幸運なことに、私はとても有能なビジネス・ウーマンでもあります。
音楽をプロとしてやっていくには、良いビジネスとマーケティングのセンスが必要です。私は自営業であり、アメリカにいる、それはつまり私は自分の将来の責任を自分で負っているということでもあります。
私が指導するそれぞれのシンガーには、自分で自分のモチベーションを高め、”誰かに見つけてもらう”ことを待つな、と励ましています。
ジャズは小さなコミュニティーのジャムセッションでも、大きなホールでのコンサートも楽しいものです。
私はよくジャズはシンガーと共演ミュージシャンのステージにおける音の会話であると話しています。この楽しい経験をしたいと思う人はみんな、ジャズという音楽への興味を追求するとよいでしょう。
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最後に、ジャズを愛するいちばんの理由を教えてくださいますか?日本のシンガーたちに何かメッセージをいだだけないでしょうか?もし生徒さんの中からグレタさんを訪れたいという人が出てきたら、歓迎していただけますか?その他にも何かコメントがあればお願いします。
この質問にはこれまでの段落で答えられたと思うわ。
「日本のシンガーたちに出会い、役立てることにとても興味をもっています」という言葉で終わりにしたいと思います。
私と勉強したい方、出会いたい方は私のウェブサイトを見る、またはgretamatassa@comcast.netに連絡してくださいね!
または宮藤晃妃さんに私に連絡してもらうようにお願いしてみることもできます。
彼女の連絡先はakivo1@ybb.ne.jp です。
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ご協力有難うございました!!
*こちらのインタビューは、宮藤晃妃さん、阪井楊子さんのご協力で行われました。
晃妃さん、楊子さん、ご協力どうも有難うございました。