Pass the Baton!【012】三槻 直子 (NAOKO MIZUKI)

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Pass the Baton! 012は東京より
三槻直子さんのインタビューをお届けいたします!

プロフィール

NAOKO MIZUKI

三槻直子 /  Naoko Mizuki

OL経験後、マーサ三宅に師事する。 その後、師の主催するヴォーカル教室の講師を務めつつ、ジャズシンガーとしてステージ活動を開始。

その確かな歌唱力と、人柄のあふれる暖かく楽しいステージは好評で、首都圏各地、また地方のライブハウスなどで活躍中。

精力的にコンサート活動も行い、その活躍を認められ、1992年度のジャズワールド主催・日本ジャズボーカル賞新人賞。

メディアにおいては、NHK-FMのセッションにたびたび出演。ハリックス55 冷感、JCBカード、永谷園、オートバックス、カネボウ化粧品などの、コマーシャルソングなどの分野にも進出している。

2012年 第28回ジャズワールド主催・日本ジャズボーカル賞大賞を受賞
リーダーアルバムも数々リリースしている。

「シンガーとしての極めて高い技術水準を身に付けている点は勿論。暖かな人柄、堪能な英語の知識、ボサノバ、ボップス、モダン、スイングを問わない豊富なレパートリー。ジャズに対する深い見識、後進への誠実な指導など、その魅力はシンガーとしてあるべき姿の理想とも言える存在となっている。馴染みのない曲でも、リスナーをぐいぐいひっぱって自分の世界を作ってしまう。そんな芸当も実力派ならではの魅力であり、三槻直子のレパートリーで、スタンダード化された隠れた名曲は枚挙に暇がない。」(湘南ビーチFMプログラムから抜粋)

 

ディスコグラフィ

(A song of a dolphin、Dedicated to youのご購入はウェブサイトよりお問い合わせください。Portraits、Sweet Standardsの2作品は画像をクリックしていただくとAmazon.co.jpストアをご覧いただけます)

A song of a dolphin
(2000)

Dedicated to you
(2003)

Portraits
What’s New Records(2007)
PORTRAITS

Sweet Standards
What’s New Records(2013)
Sweet Standards

 

 

三槻直子  インタビュー

 

  • ジャズを歌い始めたきっかけは何ですか?

 

子供の頃から英語で歌を歌うことが好きでしたが、成人し、趣味として、発声などの基礎を習ってみたくなり、その当時カルチャーセンターも、カラオケもない時代でしたので、人の紹介で、師匠マーサ三宅の主催する、Vocal Houseに入門しました。

入ってみてジャズヴォーカルの学校だと知ったので、Jazz を聞いたこともなかった私は、一年ほどで辞めようと思っていました。しかし、ほどなくJazz Vocalの魅力にすっかりはまってしまい、今では生涯を通して続けたい天職だと思うほどになりました。

 

  • あなたにとってジャズとは?

 

そのような訳で、ジャズのことを何もしらない私でしたから、学ぶことが多すぎて、苦労しました。しかし、学んでいくほどに、スタンダードジャズの曲のメロディ、歌詞の美しさ、リズムの面白さ、そして、なにより共演するミュージシャンとの合奏の楽しさに興味を惹かれて、苦になることもなく。続けることができました。ジャズとの出会いが人生を変えました。

始めは、教室の指導者にレッスンをうけるばかりでしたが、時代がよかったのでしょう。入門して3年ほどして、少しづつですが、歌のお仕事、指導のお仕事をさせていただくようになったのです。経験は少ないですから大変ではありましたが、私の場合は、指導させて頂く為にも実戦で学んでくるという両輪のバランスが良かったと思います。

当初は、曲を覚え、歌えるようになっても、毎回違うミュージシャンと共演するわけですから、人よって、イントロからエンディングまで違ってきますし、その方によって得意とする分野がありますから、こちらも柔軟に対処しながら、自分のスタイルを追求していかねばならない。選曲、テンポの出し方、ステージングのことも、諸先輩を見習って覚えていくような状態でした。

幸い、私はかろうじて、Ella Fitzgerald、Sarah Vaughan、Carmen McRae, Earnestine Anderson,Lorez Alexandria, Chris Conner, Helen Merrill, Carol Sloaneといった女性シンガーたち、Tonny Bennette, Mel Torme, Chet Baker, Mark Murphyといった男性シンガーたちを生で聴くことができていますので、その素晴らしさを肌で感じることが出来たことは幸いでした。

 

  • アーティストとしての将来の目標や今後の抱負は?

 

私のレパートリーには、お馴染みのスタンダードも多いですが、あまり知られていない楽曲も多いです。

若くてとんがっていたと時に「自分らしさ」とは何かを求めて、様々なジャンルに挑戦してきたため、あまり周辺のシンガーたちが取り上げない楽曲を選らんでいたためもあります。ポルトガル語を習って、原語でブラジル音楽に挑戦してもきました。

30年近く歌ってきて、今は、とにかく自然体で、その時の共演者と思い切りコラボレーション、インプロヴィゼーションをして、一期一会の演奏を楽しむこと。そして、そのステージを聴いて頂くオーディエンスの皆さまにもそのワクワク感を共有して頂くことに、喜びを感じるようになってきて、たとえ毎日同じ楽曲を歌っても、決して同じにならない事を大事にしています。

抱負という確固としたことはないのですが、生のステージを聴いて頂いて、ライブの楽しさを感じてもらいながら、ジャズを少しでも多くの方たちに聴いて頂きたいと思っています。

ジャズは、演じる事も、聴く事も少し難しいです。基本のルールを知っている者同士でなければ、自由に合奏することもできませんし、聴く方も多少の勉強が必要になります。

しかし、演じる側は、難しく感じさせないように、ステージングを工夫しながら、楽しく聴いて頂かなければなりません。 なにせ、日本人なのに、英語の曲を歌うわけですから。

小難しくなく、気楽に歌詞の世界に入っていただけるよう、トークなども工夫しております。

 

  • エデュケーターとしてどのようなトレーニングを積みましたか?

 

師匠マーサ三宅から、発声・発音・表現力を学びましたが、発声の習得は特に困難を極め、クラッシクの声楽の方に学んだノウハウは、実に有益でした。

また、自分の為にも、お教えするためにも、音楽理論とピアノ伴奏を習得するため、ミュージシャンから学びました。今も講習を受けたりしています。

「どうしたらスイングするか?」これは命題です。英語で歌うからスイングするわけです。

先輩シンガーたちからも助言を受けたりしましたが。

幸いに、私が大学時代に所属したEnglish Speaking Societyで、英詩を人前で朗読したり、スピーチしたり、ディスカッションするクラブ活動で、指導をうけたことや、経験は今すごく役に立っています。

英詩が持つ、Rhyme and Rhythmが大切ですね。聴き取り安い英語で、はっきりと発音することも大切にしています。

また、表情や身振り手振り、目線などを駆使して、自分自身も光景を目の前に映像のように思い浮かべることで、英語のわからない方にも、想像できるようにすることも、大切にしております。まるで俳優さんのようにですね。

 

 

  • 自分のレッスンの良さやユニークな点はどんなところですか?

 

とにかく、苦労した私ですので、レッスンが「非常にわかりやすい!目から鱗!」と皆さんに言われております。私は、ピアノを弾きながら教えていますが、とにかくその生徒さんが、実践で役に立つように、ご指導しています。前述したことと重複しますが、発声・発音・表現。人それぞれ、持っている楽器(身体)が違いますし、経験も違いますからその人に、適した指導もします。

その上で、伴奏者とどのように合奏するか。残念なことに、伴奏が聞こえていない方が多いですから、その点も指摘していきます。

今、日本では、アマチュアシンガーが、セッションなど、ライブなど、実践で歌う機会も多いのですが、レッスンを受けてから、すぐに結果がでるので、即効性のあるレッスンと言われております。

「褒められました!」と報告を受けることは、本当に嬉しいものです。

 

  • これまでの製作活動や作品について教えてください。

 

2000年に、1stアルバム「A song of a dolphin」をリリース。Herbie HancockのDolphin Danceという曲に、私が詩を作り、Hancock側にも許可を得て収録してあるアルバムです。その他、スタンダードに加えて、Milton NacsimentoのVera Cruzなども入っています。

2003年に、2ndアルバム「Dedicated to you」リリース。世界的トランぺッター奏者の、大野俊三さんをゲストに迎えています。彼のフリューゲル・ホルンと二人だけで「It’s easy to remember」を歌っています。こちらも、スタンダードに加え、Ivan Lins楽曲を2曲、Steve Swallo作曲で、私の尊敬するシンガーNorma Winstone作詞の「Ladies in Mercedes」も収録しています。

上記2枚は、名古屋で主に活躍している、素晴らしいミュージシャンに一緒に作ろうと誘って頂いて、レーベルも立ち上げて頂いて作りました。

2007年に、3rdアルバム「Portraits」を私自身がプロデュースして。What’s New Recordsからリリースしました。東京のみならず、日本全国をツアーで活躍しているピアニスト・清水絵理子さんとご一緒しました。こちらは、スタンダードジャズが多いですが、あまり日本のシンガーが歌っていない曲も多く収録されていますし、また例によって大好きなBossa Novaが2曲入っています。

2103年に、4th アルバム「Sweet Standards」をやはりWhat’s New Recordsからリリースしました。これは、主に北九州・熊本で活躍されているピアニスト野本秀一さんが一緒に作りませんか?とプロデュースしてくれました。日本で屈指のジャズギタリスト岡安芳明さんがゲストに入っています。

ここにきて、正に「スタンダード」の極み!といった選曲とアレンジで、これからジャズボーカルを学びたいという方が聞かれるにも適した一枚となっています。私も、長年の修練から、「スイングする!」を命題にした大切な一枚となりました。

どのCDにも共通して、私が考えているコンセプトは、一つのコンサートを聴いているような流れです。 オープニングから、エンディング。そして、アンコールまで。飽きることなく聴いていける。そんなアルバムを狙っています。

アレンジもその時々に、私がアイデアを出したり、共演者にアイデアを頂いたり、ヘッドアレンジやコード進行を工夫して頂いたりして、皆で作ってきています。

 

  • 最後に、ジャズファンのみなさん、他のシンガー・ボーカリストのみなさん、またはJVAJの活動へのメッセージをお願いします。

 

まず、ファンの皆さまには。ジャズは、奥が深く、難しい!けれど、とっても楽しいものです。どうぞ本物のライブを聴きにいらしてください。

シンガーの皆さまには、先輩ぶっていうつもりはありませんが、継続は力なり!!

本物のシンガー目指して、ともに頑張って続けてまいりましょう!