ケイト・マクギャリー(Kate McGarry): INTERVIEW

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ワールドクラスのジャズシンガー、アーティストをご紹介するインタビュー。14回目はアメリカ東海岸を拠点に世界で活躍するヴォーカリスト、ケイト・マクギャリーさんのインタビューをお届けいたします!

ケイト・マクギャリー:  インタビュー

こんにちは、ケイトさん!あなたのオンライン・マスタークラスを初めて開催することになり、とても楽しみにしています!
このような素晴らしい機会を与えてくださり、ありがとうございます。

 

あなたはたくさんの美しいアルバムをリリースし、グラミー賞に3回もノミネートされており、ジャンルを問わずすべての曲にそれを本物たらしめるものやバイタリティーをもたらす見事なジャズ・アーティストとして認められています。

最近の活動について教えていただけますか?

『What to Wear in the Dark』という全く新しいプロジェクトを終えたところです。

実はこの作品、2010年から取り組んでいるんですよ。

7月にResilience Music Alliance Labelからリリースされる予定です。

 

新しいプロジェクトのテーマを決め、曲を選び、それを自分の個性と結びつけることを考えるときのアプローチについて教えてください。私は、あなたが曲のストーリーを語るときに見せる感情の表現がとても好きで、それはとても自然に聞こえ、私たちの心に深く響いています。

私の経験では、私が曲を選ぶのではなく、曲が私を選んでいるのです!

私の人生に必要な特定のメッセージを持つ曲は、どういうわけか、何度も何度も心の中に入ってきます。

そのメッセージが何なのか、その曲がどのように歌われたいのか、その物語がどのように語られるべきなのかを、私は一生懸命に耳を傾け、わかろうとするのです。

そうして曲は元の形から変化し始めます。

多くの場合、まずテンポが変わり、次にリズムが変わり、そして新しいコードやサウンドが入ってくる…。

このようにして曲は変化していきます。

メロディーと歌詞はオリジナルのままですけどね。

 

生徒さんが自分の表現方法を見つけようとしているとき、あなたはどのように教えていますか?指導者として一番気にしていることは何ですか?

ジャズシンガーであれば、リズムとのつながりを大切にします。

ビートのさまざまな部分を行き来したり、歌っているリズムをスムーズに変えたりすることがとても自然に感じられるようになります。

この音楽を生み出した偉大なシンガー、ルイ・アームストロング、ビリー・ホリデイ、エラ、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ、ベティ・カーター、アニータ・オデイ、ジョン・ヘンドリックスなどを聴き、彼らがどのようにジャズというジャンルを表現しているのか、即興の言語を聴き、その言語で歌う方法を学ぶのです。

そして、シンガーがなぜその曲を歌わなければならないのかを感じられるように、歌詞とシンガーの具体的なつながりを見つける作業を行います。

また、シンガーが強く柔軟な楽器(としての声)を持てるように、テクニックのトレーニングも行います。

他にも多くのステップがありますが、これが良いスタートとなります。

 

そして言葉について・・・ご自身の作品の歌詞や詩、ハーモニー、グルーヴ、その他音楽的な部分についてもバランスのとり方や考え方を教えていただけますか?

私の考えでは、歌手が曲をどのように演奏するかという音楽的な決定はすべて、歌手の語り口、歌詞への深いつながり、曲を通して伝えようとしているストーリーから来るべきだと思っています。

 

ケイトさんの音楽に大きな影響を与えたミュージシャンは誰ですか?お気に入りの方をぜひ教えてください。

ベティ・カーター、カーメン・マクレー、ジョン・ヘンドリックスは、私が最も共感しているジャズシンガーです。

シンガーソングライターのジャンルでは、ジョニ・ミッチェル、リッキー・リー・ジョーンズ、ジェームス・テイラーが私のヒーローです。

 

ジャズを歌うことについて、一番好きなのはどんな部分ですか?ご自身の音楽において最も大事にしていることを教えてください。

自由な感じと、他のミュージシャンとの交流がとても楽しいですね。昔の古い曲に新しいアレンジを加えていく過程がとても楽しいです。

時間がかかることも多いですが、それがスリリングなのです。

 

自らをクリエイティブに保ち、周りの人に多くのことを与え続けるためのコツを教えてください。

この長い旅では、簡単に迷子になってしまいます。我慢強さとセルフケアが必要です。

また、訓練も、自分のプロジェクトに取り組むための習慣や日課を作ることも非常に有効です。

最も興味深く、自分の好奇心をかきたてる音楽的なものを自分に与え続けること。

自分にとって魅力的なものは何か…自分の心を揺さぶるものは何なのか…を追い求めること。

それがあなたの進むべき道なのです。

 

最後に、日本のシンガーやミュージシャン、ジャズファンへのメッセージもお願いします。

これは私にとって、日本での初めてのワークショップになります。とても楽しみにしています。

日本の多くの方がジャズという音楽を高く評価してくれていることに感謝しています。

インタビューへのご協力、どうも有難うございました。

 

2021.4.24(土) 開催!!ケイト・マクギャリー オンラインマスタークラス2021についてはこちらをご覧ください。

Kate McGarry (ケイト・マクギャリー) 『ジャズリズムのエッセンス』オンラインマスタークラス2021!

 

Kate McGarry(ケイト・マクギャリー) – バイオグラフィー

高い評価を得た8枚のCDと、グラミー賞「ベスト・ジャズヴォーカルCD」に2度(2008,2018)、「ベスト・ラージジャズアンサンブル」(2020)にもノミネートされているボーカリストのケイト・マクギャリーは、ジャンルを問わずあらゆる曲に信頼性と活力をもたらすジャズアーティストとして認められています。

ウォールセント・ジャーナル誌は彼女の音楽を「シンプルでエレガント、フォークとジャズの並外れて魅力的なブレンド」と呼んでいます。ニューヨーク・タイムズはそれを「鋭敏で繊細」と表現しました。一緒にツアーやレコーディングしたアーティスト達は、カート・エリング、マリア・シュナイダー、ジョン・ホレンベック、ビリー・チャイルズ、ルシアナ・スーザ、テオ・ブレックマン、トニー賞受賞のジェイソン・ロバートブラウンなどです。

ニューヨークでの10年間、マクギャリーはリンカーンセンターの教員アーティスト、米国国務省のジャズアンバサダー、およびマンハッタン・スクール・オブ・ミュージック・ジャズ科の教員を務めました。 彼女は2016年 ダウンビート誌の評論家投票で「女性ヴォーカル・ライジングスター」に選ばれ、NPRのジャズセットでディーディー・ブリッジウォーターと共演、マリオン・マックパートランドのピアノジャズやAll Things Consideredにゲスト出演、及び全国的に多数のラジオ番組で特集されました。

 

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

May Okita

ジャズシンガー&精神科医。2019年シアトルのオリジンレコードから1stアルバム「Art of Life」にてデビュー。全米・ヨーロッパを含む100以上のラジオ局でオンエアされ、ダウンビートマガジン(米)、ジャズジャーナル(英)を含む国内外の雑誌で「心洗われる歌声」「高い感受性による歌唱にいつわりのない心を見ることができる」と高評を得る。同年7月にはロサンゼルスの人気ジャズクラブFeinsteins’ at Vitello’sに出演。4年間のLA留学中にSara Gazarek, Michele Weir, Cathy Segal Garcia, Cheryl Bentyne, Tierney Suttonらに師事。Jazz Vocal Alliance Japan代表としては世界中のジャズミュージシャンとの交流を深め、情報交換や教育の場を創る活動を継続的に行なっている。