ロバータ・ガンバリーニ(Roberta Gambarini): INTERVIEW

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ワールドクラスのジャズシンガー、アーティストをご紹介するインタビュー。12回目はニューヨークを拠点に世界で活躍するヴォーカリスト、ロバータ・ガンバリーニさんのインタビューをお届けいたします!

ロバータ・ガンバリーニ:  インタビュー

  • こんにちは、ロバータさん!! 5月の来日をとても楽しみにしています!来日を前に、どんなお気持ちですか?

もうすぐ日本を訪れるのをとっても楽しみにしています!日本は私にとって特別な国なんです。

 

  • 日本にお越しくださること、このようにロバータさんと出会い学べる機会をいただけること、本当に有難うございます!私たちも皆、とても楽しみにしています!日本へのオマージュ、という副題のついたアルバム(Shadow of your smile)なども過去に発表されていますね。ロバータさんと日本のご縁はどのようにして繋がったのですか?

私の「Easy to Love」というアルバムのリリースとともにインターナショナルな活動の皮切りとなったのが日本だったんです。日本のファンの皆さんが私の音楽を聴き、受け入れてくださったことを永遠に感謝するでしょう。
それに、私にはとても特別で強い、個人的なつながりもあります。私が20年以上お世話になった敬愛するヴォーカルの先生は日本人だったんです。平山美智子先生と仰います。彼女は伝説的なソプラノ歌手で、多くのコンテンポラリー作曲家、Giacinto ScelsiやJohn Cageのミューズ(創作意欲を掻き立てる存在) でした。彼女は本物の声を求め常に試行錯誤し、人間の声について非常に素晴らしい知識を持っていたクラシックのミュージシャンでした。
彼女の指導は私が自分の体を知り、自然な声で歌えるようになるための基礎となりました。彼女は昨年95歳でこの世を去りましたが、92歳まで歌い続け、レコーディングもしていました。今回のツアーは彼女との大好きな思い出に捧げるものになりそうです。

 

  • ロバータさんにとっての音楽的アイドル、憧れのミュージシャンは誰ですか?お気に入りのミュージシャンを教えてください。エラ、サラ、カーメンらが入ってくるのでしょうか?(2019年4月発表の新譜はエラ、サラ、カーメンに捧げた作品)

もちろん、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ(そしてビリー・ホリデー、マヘリア・ジャクソン、ベッシー・スミス、ダイナ・ワシントンら)は、私の音楽の中心となる、インスピレーションを与えてくれるミュージシャンでありシンガーです。
その他、Charlie Parker, Dizzy Gillespie, John Coltrane, Thelonious Monk、そして私のメンターのBenny Carter, Hank JonesとJames Moodyも。
そしてElis ReginaやMaria Callas,、Mercedes Sosaらといった少し違うスタイルのシンガーも好きだし、影響を受けています。

 

  • ジャズを歌うことの中で一番好きなのはどんなところですか?ご自身のジャズシンガーとしての長所はどんなところだと思いますか?

ジャズ・シンギングのの全ての領域のことが大好きだけれど、一番好きなのは美しいバラードを歌うことです。素晴らしいメロディーに驚くほど美しい歌詞、それほど素敵なものはないと思うのです。それに自分の声で物語を伝えるのが好きなので。
ジャズシンガーとしての長所は・・・自分のことを外から見ることができないので、私は自己評価をするのが下手なの(一度でいいから自分のパフォーマンスに満足してみたいものです!)。だからきっとリスナーの皆さんの方が私の長所をよくわかってくださっていると思います。

 

  • ジャズシンガーとしてご自分の音楽の中でもっとも大切にしているのはどのようなことですか?

先ほどもお伝えしたけれど、私は物語を伝えることをもっとも大切にしています。そして、この音楽の持つ歴史と表現への敬意も。
ジャズは驚くほど素晴らしい世界で、スピリチュアルな価値に富み、パフォーマーとリスナーの両方に多くの喜びをもたらすことができる音楽です。

 

  • 新譜のレコーディングプロジェクトについてはいかがですか?“Roberta Gambarini honors Ella, Sarah & Carmen/Dedications”の発表をとても楽しみにしています。レコーディングでの経験をシェアしていただけますか?

新譜 ‘Dedications’ は、今回私をツアーに呼んでくださったAll Art Promotionsの石塚さんのリクエストで制作することになりました。エラ、サラ、カーメンの三人の素晴らしい歌の名手たちは私にとって非常に大きな影響を与えてくれたので、彼の提案に対して、喜んで取り組むことにしました。
ニュージャージーのサウスオレンジにあるスタジオで、ある日の午後、素晴らしいピアニスト、ジェブ・パットンと私で録音した作品です。曲を楽しんでいただけると良いのですが!

 

  • 指導者として教え始めたのはどういった経緯でしたか?教えることのどこが好きですか?指導者として最も気をつけていることは?そして目標は?

何年も前のことになりますが、まだイタリアに住んでいた頃、ミラノの市民向けのジャズスクールで教え始めました。教えることで一番楽しいのは、自分の歌に対する情熱を人に渡していくことができるという可能性、そして生徒が育ち、自らの力で歩き始めるのを見ること。
私のイタリア時代の生徒の中から素晴らしいパフォーマーになった方もいて、とても誇りに思っています。Alice RicciardiやChiara Pancaldiらです。

 

  • 自らをクリエイティブに保ち、周りの人に多くのことを与え続けるためのコツを教えてください。

私をクリエイティブでいさせてくれるのは、オーディエンスや生徒、そしてジャズの巨匠たちから常に学び続けることで得るインスピレーションです。

 

  • 最後に、日本のシンガーやミュージシャン、ジャズファンへのメッセージもお願いします。

たくさんの方に、私を歓迎してくださっていることへの感謝をお伝えしたいです。皆さんにお会いして、直接やりとりをすることを心から楽しみにしています。
日本のシンガーのお友達の皆さんへのメッセージは・・・「頑張ります!!!」です。
素晴らしいもの、素敵なものに対する希望を決して失わず、スウィングし続け、成長しようとし続けることです。

 

ロバータさんの来日をとても楽しみにしています!インタビューへのご協力、どうも有難うございました。

 

5/9(木) JVAJ主催のRoberta Gambarini Masterclass in Tokyo 2019 開講!是非ご参加ください。

 

Roberta Gambarini(ロバータ・ガンバリーニ) – バイオグラフィー

Roberta Gambarini

イタリアのトリノでジャズ好きの両親の間に生まれ、幼少より父親が集めていたジャズのレコードを聴いて育った。初期にはルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルドの影響を受け、次第に、サラ・ヴォーン、ビリー・ホリデー、カーメン・マクレエ、そしてゴスペルやブルースのアーティストであるマヘリア・ジャクソンやベッシー・スミスらも聴くようになった。

12歳頃からクラリネットを始めるが、次第に美しいアルトヴォイスと歌の才能が開花し、17歳になる頃にはミラノに出てジャズ・クラブ等に出演。国営放送のコンテストで3位になり活動の場を広げていった。1998年に奨学金を得て渡米、ボストンのニューイングランド音楽院に留学、渡米してからわずか2週間という時期でありながら栄誉あるセロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズ・コンペティションでテリー・ソーントン、ジェーン・モンハイトについで3位に輝き、この結果から彼女の歌に注目が集まり、エラ、サラ、カーメンの再来と称されるようになった。素晴らしいミュージシャン達に共演を求められ、世界的に有名なカーネギー・ホール、ケネディー・センター、ハリウッド・ボウル、ジャズ・アット・リンカーンセンター、などでのコンサートで演奏を重ねていった。

2004年からジェームス・ムーディらとディズィ・ガレスピ・オールスター・ビグバンドとのツアーを行い、2005年にデビュー・アルバム『 Easy to Love』を発表、グラミー賞にノミネートされ、日本でもスイング・ジャーナル誌のジャズ・デイスク大賞を受賞。 2004年Blue Note出演、2006年富士通コンコード・ジャズ・フェステイバルで来日。2007年2作目となるハンク・ジョーンズと組んだ『Lush Life』も高い評価を得た。2009年の『So in Love』で再びグラミー賞にノミネートされており、その後もジミー・ヒースの作品集Connecting Spiritを発表するなど活躍し続けている。

2019年4月『ロバータ・ガンバリーニ/デディケーションズ~エラ、サラ、カーメンに捧ぐ』をリリース予定。

ロバータ・ガンバリーニ(Roberta Gambarini) ディスコグラフィー

エラ、サラ、カーメンに捧ぐ EASY TO LOVE ソー・イン・ラヴ シャドウ・オブ・ユア・スマイル~オマージュ・トゥ・ジャパン ラッシュ・ライフ Connecting Sprits~Roberta Gambarini Sings The Jimmy Heath Songbook

 

ABOUTこの記事をかいた人

May Okita

ジャズシンガー&精神科医。2019年シアトルのオリジンレコードから1stアルバム「Art of Life」にてデビュー。全米・ヨーロッパを含む100以上のラジオ局でオンエアされ、ダウンビートマガジン(米)、ジャズジャーナル(英)を含む国内外の雑誌で「心洗われる歌声」「高い感受性による歌唱にいつわりのない心を見ることができる」と高評を得る。同年7月にはロサンゼルスの人気ジャズクラブFeinsteins’ at Vitello’sに出演。4年間のLA留学中にSara Gazarek, Michele Weir, Cathy Segal Garcia, Cheryl Bentyne, Tierney Suttonらに師事。Jazz Vocal Alliance Japan代表としては世界中のジャズミュージシャンとの交流を深め、情報交換や教育の場を創る活動を継続的に行なっている。