ティアニー・サットン (Tierney Sutton) : INTERVIEW & Masterclass in TOKYO 2018

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グラミー賞に過去8回ノミネートされ、映画”ハドソン川の奇跡”のサウンドトラックで一世を風靡。20年以上続く自己のバンドで世界中をツアーしながら100曲以上をアレンジし次々と素晴らしい作品を生み出して来たジャズヴォーカリスト、ティアニー・サットンさんのインタビューと2018年のJVAJ主催のマスタークラス情報をお届けします。

ティアニー・サットン(Tierney Sutton) インタビュー

Tierney Sutton
  • 9月にマスタークラスをJVAJで開催させていただけることになりとても光栄です。日本に来るにあたり、今の心境はいかがですか?

 

日本のオーディエンスはいつもとても知的で、音楽に対して熱心で、日本で演奏するとは私にとって特別光栄なことです。本当に楽しみにしています!

※マスタークラス詳細はインタビュー下のフライヤーをご覧ください。

 

  • 直接お会いして一緒に学べる機会を本当にありがとうございます。ティアニーさんはたくさんの国をツアーで周り、指導もなさっていらっしゃいますが、国際的に働くことのどんなところがお好きですか?

 

ジャズは与えられたその瞬間におけるあらゆるものに影響を受ける音楽だと思います。

私はちょうど中国の北京から戻ってきたばかりなのですが、中国のフォークソングを覚え、現地のショーの一部に組み込んで楽しく演奏してきました。

どの国にも独自の文化や音楽があります。でも、私たちは音楽でつながり、一つになることができるのです。それは本当に特別なことですよね!

 

  • ティアニーさんの音楽におけるアイドル、ヒーローのようなミュージシャンはどなたですか?大好きなミュージシャンを教えてください。

 

私はボビー・マクフェリンとアル・ジャロウ(アル・ジャロウ氏とはジョニー・ミッチェルの曲を収録した”After Blue”のレコーディングで共演)が大好きです。

ビル・エバンス、マイルス・デイヴィス、キャノンボール・アダレイ、といった楽器奏者からも大きな影響を受けています。

10年以上に渡ってヒューバート・ロウズとも共演を重ねてきていますが、彼は間違いなく私のヒーローよ!!

 

  •  ジャズを歌うことのどんなところが一番好きですか?ご自身のジャズシンガー、パフォーマーとしての長所はどんなところだと思いますか? 

 

素晴らしいミュージシャンとお互いに影響を与え合うことが大好きです。

そして、自分の演奏に対してベストを尽くしているミュージシャンたちと多くの仕事をしてきたことを誇りに思っています。

その瞬間において、お互いにインスパイアし合うことができるのは最高のことだと思います。

 

  • レコーディングについてはいかがですか?これまでにティアニー・サットン・バンドでたくさんの素晴らしい作品を創って来られていますね。その素晴らしいアイディアやアレンジが大好きです。バンド活動や、制作のご経験をシェアしていただけますか?

 

それぞれのアルバムに特別さがありますが、敢えて触れるとしたら、私のバンドはとても協調的なプロセスで活動しているということが言えると思います。

お互いをとてもよく知っていて、時々、相手の考えていることがわかってしまうくらい。

それぞれが完全に、自分たちがやっていることに対して役割を与えられていると感じています。

 

  • クリント・イーストウッド監督の映画 “ハドソン川の奇跡” のサウンドトラックはとても美しく、素晴らしいお仕事でした。その経験はティアニーさんにとっていかがでしたか?

 

あのプロジェクトでは本当に素晴らしい時間を過ごせました。

クリント・イーストウッド監督がティアニー・サットン・バンドの一部になったかのようでした! 彼はアイディアを出してくれ、私たちも提案をして、映画に合わせて即興で演奏したのです。最高の経験でした。

クリスチャン・ジェイコブ(TSBのピアニスト)は美しいテーマを作曲し、イーストウッド監督もメロディーを与えてくれました。歌詞を書くのは私にとって良い経験になりました。

 

  • どのようにして指導者として教えることになったのですか?教えることのどんなところが好きですか?先生としていちばん大切になさっているのはどんなことですか?教育者としての目標は?

 

たくさんの生徒を教えてきて気づいたことですが、私の最も重要な役割はそのシンガーが自分らしく歌えるように助けることだといつも感じています。

それぞれのシンガーが声というユニークな楽器を “演奏している” 訳なので、一人ひとり、取り組むことや考え方は異なります。

私は自分の生徒からとてもたくさんのことを学びます。

 

  • どのようにご自身をクリエイティブに保ち、周りの人に与え続けることができるのか、教えてください。

 

私の知っているミュージシャンはそれぞれの活動にダイバーシティー(多様性)を持っていると思います。
そして、私たちがすることの全てが新しいクリエイティヴィティーと新しい影響を生み出すチャンスであると思うのです。

新しい人と仕事をすることや新しいことを試すことに対してオープンな気持ちでいれば、クリエイティブさを保つことができます。というよりも、クリエイティブでいずにはいられないでしょう!

 

  • 最後の質問になりますが、ジャズのどんなところを愛していますか?日本のシンガーに何かメッセージはありますか?もしよろしければ教えてください。

 

私はジャズの自由さと可能性が大好きです。そして、次に何が起きるかわからないところも。

シンガーの皆さんには、オープン・マインドでい続けるように、そしていかなる扉も閉じてしまわないように、と話しています。

すべてのことをやってみて、最善を尽くすことですね。

 

たくさんのシンガーがティアニーさんの来日を楽しみにしています。素晴らしいインタビューのご回答、有難うございました!!

ティアニー・サットン(Tierney Sutton) バイオグラフィー

ティアニー・サットン
ティアニー・サットンは過去10年間のそれぞれの作品において連続して8回のグラミー賞ノミネート、そのうち7回は“ベスト・ジャズヴォーカル・アルバム”へのノミネートを果たした。2013年にリリースした“After Blue”はジョニー・ミッチェルの残した楽曲を、新たにジャズのインスピレーションで収録。

このアルバムは彼女が長年活動を共にしてきたティアニー・サットン・バンドとは異なるメンバーAl Jarreau, Hubert Laws, Peter Erskine, Larry Goldings, Mark Summer, Kevin Axt, Serge Merlaud らとThe Turtle Island String Quartetをフィーチャーしたものであり、彼女の優れたリーダーシップが発揮されており、幅広い賞賛を得た。このジョニー・ミッチェルの“After Blue”プロジェクトでのワールドツアーは現在も続いている。

20年以上、9作品に渡りレコーディング、ツアーを継続してきたティアニー・サットン・バンド(TSB)は、他に類を見ない独自の道を歩んできた。Kevin Axt(bass), Ray Brinker(drums), Trey Henry(bass), Christian Jacob(piano)らからなるこのバンドは、真の共同ユニット(法的に認められた組織)であり、すべての音楽的なこと、そしてビジネスの決定をパートナーとして行っている。2011年にTSBは彼女らがコラボレーションして生み出したアレンジで、初めてそのバンドの活動スタイルを評価されグラミー賞にノミネートされるという栄誉を授かった。

TSBのディスコグラフィーはテーマを持ち、多彩である;アメリカの象徴 (American Road, 2011), 実物主義について (Desire, 2009), 幸福の追求 (On The Other Side, 2007), ビル・エヴァンスの作品集 (Blue in Green, 2001) そして、フランク・シナトラへの追悼 (Dancing in The Dark, 2003)。その延長線上に、2016年秋の最新作、スティング・ヴァリエーションズを発表した。これに加えてTSBのピアニストクリスチャン・ジェイコブとTSBはクリント・イーストウッド監督が手掛けたトム・ハンクス、ローラ・リニー主演の映画 “Sully(ハドソン川の軌跡)”のためにオリジナル楽曲を書き下ろした。この映画は2016年の9月に上演され評論家らからの絶賛を受けた。

ティアニーは近年、ハリウッドボウル、カーネギーホール、ケネディーセンターやジャズ・アット・リンカーンセンター等へも出演している。映画 “The Cooloer”のサウンドトラック、BMW, Green Giant, Yoplait Yogurt, CokeなどのテレビCMでも活躍。

ツアー以外の時間では、プロデューサー、ジャズヴォーカルの教育者としてもティアニーを求める声は多い。彼女は南カリフォルニア大学で10年以上教鞭を取り、パサデナにあるLAカレッジ・オブ・ミュージックでも5年以上にわたり主任教授を務め、すべてのジャンルのヴォーカリストのための新しいカリキュラムを創った。ティアニーは新しい世代で今最も輝いているシンガーであるグレッチェン・パーラート、サラ・ガザレクらを教え、メンターとなり、育てたことでも知られている。

STING VARIATIONSハドソン川の奇跡【UHQCD】Paris SessionsAfter BlueAmerican RoadDesireOn the Other Sideアイム・ウィズ・ザ・バンドDancing in the DarkSomething CoolBlue in Greenアンサング・ヒーローズIntroducing Tierney Sutton

2018.9.17(月・祝) ティアニー・サットン  マスタークラスのご案内

7/16(月・祝) の正午より受付開始いたします!

※今回のマスタークラスはKobe Modern Jazz Club 村田様のご協力のもと開催可能となりました。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。

Kobe Modern Jazz Club主催のティアニー・サットン&タミール・ヘンデルマン ジャパン・ツアーのチケットはこちらからお求めください。

9/12(水) 東京公演 下北沢 http://eplus.jp/sys/T1U14P002261249P0050001
9/14(金) 神戸公演 100番ホール http://eplus.jp/…/T1U14P0010175P0108P002261978P006001P00300…
9/16(日) 京都公演 木津川いずみホール http://eplus.jp/…/T1U14P0010175P0108P002261980P006001P00300…

ABOUTこの記事をかいた人

May Okita

ジャズシンガー&精神科医。2019年シアトルのオリジンレコードから1stアルバム「Art of Life」にてデビュー。全米・ヨーロッパを含む100以上のラジオ局でオンエアされ、ダウンビートマガジン(米)、ジャズジャーナル(英)を含む国内外の雑誌で「心洗われる歌声」「高い感受性による歌唱にいつわりのない心を見ることができる」と高評を得る。同年7月にはロサンゼルスの人気ジャズクラブFeinsteins’ at Vitello’sに出演。4年間のLA留学中にSara Gazarek, Michele Weir, Cathy Segal Garcia, Cheryl Bentyne, Tierney Suttonらに師事。Jazz Vocal Alliance Japan代表としては世界中のジャズミュージシャンとの交流を深め、情報交換や教育の場を創る活動を継続的に行なっている。